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サブスクリプションのよくある誤解--レンタルやリースとの違いとは?

松尾太輔 (横河レンタ・リース)

2020-02-03 06:00

 前回は、企業が運用された状態のPC(デバイス)をサービスとして提供される「DaaS(Device as a Service)」とは、どういうことかということについて、利用者たる従業員に直接提供され、管理者の手を煩わせることなく、継続的に価値の向上(アップデート=デバイスの場合は、リプレース)が図られることであると申し上げました。それ故に、DaaSの利用はサブスクリプションという契約形態が最適です。今回は、ここを掘り下げます。

 このサブスクリプションについて、「いつでも解約できるのがサブスクリプションだ。だから、モノがあるとサブスクリプションは成り立たない」という声を耳にします。もちろん、PCがモノである以上、物理的なコストがかかります。使い始めてすぐ利用しなくなれば、PCは中古になってモノとしての価値が半減しますし、送付や返却を繰り返せば配送料もかかります。そのため、ノーペナルティで解約できるサービスは、基本的に成り立たないでしょう。DaaSの基本的な価値は、「常に解約自由」にはありません。むしろ、継続的に利用するからこそ、価値が上がっていくことにあります。

 デバイスでも、ソフトウェアでもそうですが、従来の「販売」という形態は、購入時点で価値が確定し、その代わりの対価も確定します。そのため、「買ったものだから、長くなるべく使えば期間当たりの対価が安く済む」と勘違いされがちですが、モノは老朽化します。前回の記事で説明した通り、特にPCは利用を始めて3年以上が経過した頃から急激に故障率が上昇し、4年以上使うとなると、3年間に比べて4倍近く故障率が跳ね上がるという調査結果もあります。運良く故障しなくても、購入時に確定した「モノとしてのPCの価値」は、時間の経過ともにどんどん下がっていきます。

 「ソフトウェアであれば、モノじゃないから老朽化しない、長く使いたい」という方もいますが、これも大きな誤解です。ソフトウェアは、“陳腐化”します。特にこの変化の激しいITの世界において、同じソフトウェアを使い続けること自体が企業の競争力を大きく減退させます。次々に新しいソフトウェアを使い、劇的に生産性を向上しているかもしれません。

 ある先生は、これを「相対的陳腐化」と呼んでいました。ソフトウェアそれ自体がモノみたいに老朽化することはないのですが、競合他社と比較すれば、時間とともにソフトウェアの持つ“価値”が老朽化していると言えるのです。ようは、古いソフトウェアを長く使い続けようと考えること自体が、ビジネスにとって大きなリスクであると言えます。

 このことに対して「as a Service」は、契約を継続することで価値が向上していくことを前提としています。価値が固定的なモノではなく、変化が可能なサービスなので、絶えず短期間でアップデートすることが可能なのです。つまり提供側は、時間とともに価値を高めることが可能なのです。これこそ、「所有から利用へ」の最大のメリットです。所有してしまえば、所有者にとっては買ったその瞬間から価値の陳腐化、老朽化が始まります。サービスであれば、むしろ価値が向上します。だからこそ、サブスクリプションでの提供が向くのです。価値が下がらず、むしろ上がっていくのであれば、その価値を受け取る側が利用している期間に応じて提供側に対価を支払うというのは妥当です。

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