海外コメンタリー

ビッグデータを本当に意味のある情報に変えるには--3人のリーダーに聞く - (page 3)

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-11-21 06:30

 Holt氏は、Trainlineがこの5年間進めてきた社内文化改革を振り返り、戦略的成功の鍵は、IT部門の中だけでなく、組織全体にデータドリブンの考え方を行き渡らせることだと述べている。情報の力を理解している人材がいる企業は、より賢明な経営判断を下し、企業と顧客の両方にメリットを生み出す。

 「それには、常に『データはどうなっている?』と聞き続ける必要がある。直感や仮説だけに基づいた議論に引きずられるのは非常に簡単だ。しかし『こうすべき』『ああすべき』という『べき論』 を振りかざすのではなく、実際にデータがどうなっているかを見る必要がある。データを見て、サービスを使っている人は1%しかいないと分かったら、議論をやめた方がいい」とHolt氏は語った。

データに関心を持たせるためにビジネスインテリジェンスとアナリティクスに投資する

 英国のノーザンプトン総合病院NHSトラストの最高情報責任者(CIO)Hugo Mathias氏は、収集されている情報を最大限に生かしたければ、データレイクやデータウェアハウスを作るだけでなく、生み出した知見が、組織の人々にどう役立ち、利用されるかについても考えるべきだと話す。

 「可視化ツールやビジネスインテリジェンスツールも必要だし、情報を刺激的で魅力的に見せるための手段も必要だ。なぜなら、人々がデータに関心を持たなければ、ただデータを持っているだけで終わってしまうからだ」とMathias氏は言う。

 Gartnerによれば、部門横断的にデータに関心を持たせることは、CIOにとって大きな課題になっており、ビジネスインテリジェンス(BI)やアナリティクスへの取り組みの成熟度が低いと分類された企業は、全体の87%にも及ぶという。同社は、取り組みの成熟度の低さは、既存のデータ資源や機械学習などの最新のアナリティクス技術を活用したいと考えている企業にとって大きな障害になると述べている。

 Mathias氏は、IT部門がアナリティクスを扱えるようにならなければ、事業部門にデータを活用するメリットを提供することはできないと語る。同氏は、目指しているのは情報を知見に変えることであり、BIとアナリティクスを賢く使えば、エンドユーザーに関心を持ってもらい、単なるデータの列を、意味のある知恵に変えるのに役立つと話す。

 「生み出した知見は、単に興味深いだけでなく、役に立たなくてはならない。目的は人々がより良い仕事をする手助けすることだ」と同氏は言う。「それができれば、相手はITチームがビッグデータに関してやっている仕事を評価してくれるだろう。日常的に行っていた面倒な仕事に時間を取られることがなくなるからだ」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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