つまりDIYによるSD-WANを目指す企業は、それが導入作業開始からごく短期間のうちに極めて高度な技術を要するプロジェクトとなりかねないことに留意する必要があります。SD-WANに関する業界基準が存在しないことも懸念のひとつであり、また各ベンダーにはそれぞれ独自のセールスポイントや微妙な違いが存在しますが、それらの検証と判断は企業自らが行うことを求められます。
複数のベンダーからのソリューションを公正に比較するためには、厳密なテスト基準を使用することが非常に重要であり、市場を独占しているベンダーが作成したテストや成功基準は避けるべきです。
SD-WANの導入をためらい、すでに熟知するとともに信頼しているMPLSを使用し続ける企業があることは理解できますが、SD-WAN導入による機能強化は比較の余地のないものです。
スマート化された高速道路がトラフィック管理手法を使って収容力拡大と渋滞軽減を実現するのと同様、SD-WANテクノロジーは現代の企業が必要とする柔軟性、アジリティー、効率を提供することによってユーザーエクスペリエンスを改善します。しかし、すべての新しいものがそうであるように、この移行を実現するためにはものの考え方を変える必要があります。
- 宮澤敏明(みやざわ・としあき)
- シトリックス・システムズ・ジャパン セールス・エンジニアリング本部 ネットワークSE部 部長
- ダイヤルアップやメインフレームの時代からネットワークを担当。様々な基盤で活用されるアプリケーションインフラのソリューションを提供し、企業WANからオンプレデータセンターやクラウドまでエンタープライズITの進化を支援。