アイ・ティ・アール(ITR)は11月19日、国内の光学文字認識(OCR)市場予測を発表した。2018年度の売上金額は前年度比45.3%増の52億円。急速な伸びを示し、2019年度は53.8%とさらに成長。2023年度には160億円に到達するという。
長い歴史がある反面、認識精度の低さから企業導入が限定的だったOCRは、人工知能(AI)を活用した認識精度の向上、データの自動抽出機能の追加などで見直されているという。
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)もきっかけの一つとなっており、導入とあわせて入力業務の更なる省力化、自動化範囲拡大の一環で検討する企業が増えているという。
市場は成長を続け、2018~2023年度の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)を25.5%と予測している。
RPAベンダーを中心に幅広くOEM提供するABBYYが市場を牽引。Cogent LabsやAI insideなどのベンチャー企業もAIを活用した手書き文字の認識率向上、読取項目自動抽出機能の付加などで急成長しているという。他の老舗OCRベンダーも機能や販売体制の強化を進めているとしている。
提供形態別では、2018年度のパッケージは前年度比22.0%増。SaaS市場は同5倍の伸びだったという。AIを活用してデータ精度を容易に向上できるSaaSを選択する企業が今後も増加し、2023年度には市場全体の約6割を占めるとしている。
2017~2023年度、提供形態別のOCR市場規模推移および予測(出典:ITR)
ITRのシニア・アナリストの三浦竜樹氏は、「最新のAIを活用したOCRは、レイアウトが異なる文書から同一項目を認識、判断し、データベース(DB)や他システムへのデータ格納の自動化など、認識精度、自動化機能が大きく進化している。AIを活用するOCRでは今後も機能向上が進み、高い成長が期待される」とコメントしている。