Salesforceが業界専用の製品やサービスへと事業拡大を進めるなか、同社がヘルスケア分野に注目しているのは当然のことと言えよう 。2018年に、米国のヘルスケア分野に対する支出は3兆6500億ドルに達している。またデジタル変革の必要性が明らかな分野でもあるためだ。
Salesforceのヘルスケア・ライフサイエンス担当シニアバイスプレジデントのAshwini Zenooz博士は、サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Dreamforce」で米国時間11月20日、次のように述べた。「2020年を目前に控え、Teslasはほぼ自動運転が可能になっている。その一方で、医師はいまだにファクスでやり取りし、情報共有している」
Zenooz博士は、患者がパーソナライズされた治療を受け、医療関係者が予測的ツールを活用できる、別の現実を提案した。
「保険会社が高度な機械学習アルゴリズムを利用し、個人のニーズを予測して働きかけたり、ライフサイエンス企業がユーザーの同意の下、ユーザーデータを使用して、パーソナライズされた、的を絞った治療を提案したりできる」様子を想像してほしいと、Zenooz博士は述べた。
Salesforceは同社が2016年に発表した「Health Cloud」なら、いまだにファクスを使用している医療組織でさえ、そうしたことを実現できるという。「デジタル変革のどの段階にいようと、その実現を支援したい」(Zenooz博士)
Salesforceとパートナー企業は、ヘルスケア分野がデジタル変革に取り組まなければ、不満を持つ患者や顧客を、デジタル新興企業やシリコンバレーの大手企業に奪われることになると警告する。
Dreamforceの壇上で、Deloitte DigitalのConvergeHEALTH担当最高デジタル責任者のChris Zant氏は、「ヘルスケア分野以外のテクノロジー専門企業が、われわれの業界を根底から覆すことになるだろう」と述べた。
Salesforceの製品担当シニアバイスプレジデントのRob Seaman氏は、米国で2018年、ヘルスケア分野にベンチャーキャピタル資金として113億ドルが流入したことに触れた。
規制の枠組みが多様で変化し続けていることは、業界が直面する課題の1つにすぎない。Zenooz博士は、米国のヘルスケア分野は今後10年間に、変化する人口統計、異なる料金体系、そして何よりも重要となる相互運用性に対処しなければいけないと指摘した。またZant氏は、「カスタマージャーニーと同様の体験を、ヘルスケアジャーニーでも提供する」ために、データは患者とともに移動する必要があると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。