日本全国でペーパーレス化が進みつつあるが、紙をなくすことはできないと考えている方も多いのではないだろうか。デジタル化したファイルで事足りたり、コンビニなどを活用して外で印刷できる機会も増えたりしているとはいえ、出力機器が皆無というオフィスはまだまだ少ない。
カラーかモノクロか、顔料やプラスチック粒子でできた粉末で構成するトナーを紙に転写する“レーザープリンター”か、液体インクを用紙に直接噴射する“インクジェットプリンター”か、はたまたコピーやスキャンといった印刷以外の機能も備えた“複合機”なのか。いくつかの選択肢はあるが、いずれにせよ紙にできるなんらかの出力機器はあるはずだ。
ここでは、一般的なオフィスでの活用を想定し、特長やラインアップなどをベンダーごとに紹介していく。第7回は理想科学工業(RISO)。
1946年、一つの型を作ってインクを乗せていく謄写版(ガリ版)方式の印刷業として創業した理想社が前身。1958年には謄写版印刷機器「RISOグラフ」の販売を開始。現在でも高速、低コストで製版から印刷までの大量作成、印刷が可能な「リソグラフ」シリーズとして展開している。
開発へのこだわり--「世界に類のないものを創る」
RISOの営業本部 営業統括部 ORP統括課で課長を務める下世古学氏は「開発に注力しており、世界に類のないものを創るというポリシーがある」と全社にわたる方向性を説明。一般オフィス向け高速インクジェットプリンター「ORPHIS」シリーズのフラッグシップモデルの「GD」シリーズでも、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックにグレイを加えた計5色のインクを搭載。特徴的なラインアップを展開している。
下世古氏
リソグラフの流れを汲むため、“速くて安い”も共通した特長の一つ。GDシリーズの最上位モデル「GD9630 プレミアム」では、毎分の印刷速度は片面160枚、両面の場合は80枚。一般的なA4モデルの倍以上、世界最速のプリントスピードを誇るという。
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印刷方式には、ライン型の高速インクジェット方式を採用。大量印刷向きで、1枚あたりの印刷コストはフルカラーの場合は1.44円、モノクロの場合は0.5円となるという。
インクには独自開発の油性顔料を採用。用紙が水分を吸収、波打ちやカールなど変形しやすい水性と比べて“しわ”が入らず、スムーズに用紙搬送できるという。印“字”の品質よりも、印“刷”の品質を重視。最終的な印刷物に注力しているという。
オルフィスの印刷イメージ(出典:RISO)
拡張性の高さにもつながり、マニュアルやカタログ、規約書などの製本までを自動化する「くるみ製本フィニッシャー」、1通ずつ宛名が異なるダイレクトメール(DM)や請求書などを三つ折り、封入、のり付け、封かんまでができる「メーリングフィニッシャー」などが選択できるという。
くるみ製本、メーリングフィニッシャー(出典:RISO)