日本テラデータは11月20日、報道機関・アナリスト向けの説明会を開催した。10月に米国コロラド州デンバーで開かれた年次プライベートイベント「Teradata Universe 2019」の発表内容を振り返るとともに、クラウドを中心に据えた同社の事業戦略を示した。
会見の冒頭、代表取締役社長の髙橋倫二氏は米Teradataでの最高経営責任者(CEO)の交代とアジア太平洋(APAC)地域担当エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)の就任について触れた。
日本テラデータの高橋社長
米Teradataでは、11月7日付でOliver Ratzesberger氏が社長兼CEOを退任し、前CEOのVictor Lund氏が暫定復帰したことが発表された。現在は同社のビジョンと成長戦略の実現を推進する新CEOの選定を開始している段階だという。その上で「戦略と製品のロードマップに変更はない」(高橋氏)は強調した。
また、日本を含むAPAC地域をの事業を統括するEVPにKeith Budge氏が就任。IT企業の経営幹部として26年以上の実績があり、複数のスタートアップ企業の立ち上げなどにも関わりがある人物だという。
「テラデータは“高価なハードウェアメーカー”というイメージが根強い」と高橋氏は言う。しかしながら、近年はクラウド事業の強化に大きく舵を切り、データ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」を中核とするクラウド型のアナリティクスで事業拡大を目指している。
Teradata Universe 2019では、パブリッククラウドのGoogle Cloud Platform(GCP)に対応(2020年に予定)することが発表された。Amazon Web Services(AWS)、MIcrosoft Azureにも既に対応しており、これで“ハイパースケーラー”や“メガクラウドベンダー”と呼ばれるAWS、Azure、GCPが提供するクラウドインフラを自由に選択できるようになる。エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部長 小永井崇氏によると、アプリケーションの変更なしに移行可能であり、各クラウド上のネイティブサービスを利用したり、ハイブリッド/マルチクラウドで構成したりすることができるという。
新たな価格モデルとして利用した分だけ支払う「消費型モデル」(Pay-as-You-Go)を選択肢として追加されることも明らかにされた。2020年第1四半期に利用可能になる予定。クラウド上のコンピューティング、ストレージのリソースを利用量に応じて支払う仕組み。「ミリ秒単位」(小永井氏)で課金されるという。コンソールダッシュボードから利用実績を確認でき、部門ごとやクエリーごとに把握することも可能だという。
ワールドワイドでパートナービジネスも強化している。10月にはDeutsche Telekomと提携し、同社の顧客である小売や不動産、製造の中小企業(SMB)を中心にVantageを販売していく。大企業だけでなく中小企業にもデータ分析に取り組みやすい環境を提供する。
日本のビジネス状況について、高橋氏は「売り上げは二桁成長で、Vantageの採用も二桁になった」と好調をアピール。販売形態は買い取りからサブスクリプションへの移行が順調に進んでおり、クラウドを検討・選択する顧客が増えているという。「解約もほとんどない」と強調する。クラウド専任の営業チームを世界に先駆けて設置し、データサイエンティストの育成を強化するなど、組織体制の整備も続けている。
なお会見では、Teradata Universe 2019で発表されたグローバル調査の結果や新ソリューションの内容などにも言及されたが、これについては既報の記事をご覧いただきたい。