オランダのアムステルダムに拠点を置くRIPE Network Coordination Centre(RIPE NCC)は現地時間11月25日、新規割り当て用のIPv4アドレスをすべて使い切ったと発表した。同組織は欧州と中東、一部の中央アジア地域におけるIPアドレスの割り当てを担っている。
IPv4アドレスはインターネットに接続されている機器を特定するために用いられる数値であり、32ビットで構成されている。つまり一意なIPv4アドレスは42億個しか存在しないため、インターネット接続機器の爆発的な増加によって、需要が供給を上回るようになっている。
76の国々のISPやその他の組織にIPアドレスを割り当てているRIPE NCCは、「われわれは今やIPv4アドレスを使い果たした」と述べた。
この事態は、RIPE NCCがInternet Assigned Numbers Authority(IANA)からIPアドレスの最終割り当てを受けた2012年から予想されていた。
とはいえ、同地域で「新規IPv4アドレス」を交付できる唯一の組織であるRIPE NCCは、この発表によってネットワーク事業者に対するプレッシャーが大きくなるとともに、インターネットの拡張性を維持した成長への関心が高まるだろうと述べている。
今後は、事業を畳んだ組織や、もはやIPv4を利用しなくなったネットワークからRIPE NCCに返却されてきたアドレスを、順番に使い回していくことになる。その数は年間で数十万単位になると予想されているが、RIPE NCCは「今日のネットワークが要求する数百万という数には到底及ばない」とした。
このような危惧があったにもかかわらず、IPv6はまだ大々的な採用に至っておらず、今日のインターネットの大半はいまだに旧来のIPv4ネットワークで運用されている。RIPE NCCは、これによって複雑かつ高価な回避手段を採用する、あるいはIPv6を採用するという対策がネットワーク事業者に求められる可能性があると述べた。
RIPE NCCのレジストレーションサービスおよびポリシー整備担当マネージャーのNikolas Pediaditis氏は、「IPv4の枯渇により、インターネットの成長が、スキルを有したネットワークエンジニアやIT機器、投資の不足ではなく、一意なネットワーク識別子の枯渇という、本来であれば不要な制約が課される未来に向かって進んでいく危険がある」とした。
こういった需給バランスの崩れにより近年、IPv4アドレスの中古流通市場が拡大してきている。このような市場では、1つのIPv4アドレスが10〜30ユーロ(約1200〜3600円)で売買されており、世界的に見ると数億ドル規模の市場を形成しているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。