そして、もう1つは、企業や地方自治体などによる5Gのプライベートなエッジクラウド。「通信事業者によって5G通信が全国展開されるまで時間がかかるため自分たちで先に閉域網で開始したい、または、情報のセキュリティを担保するため自分たちで設計したい、ということで”ローカル5G”という使われ方も考えられる」(五十嵐氏)が、そこでクラウドやデータセンターとしての活用がなされれば、5Gクラウドの展開が可能となる。
たとえば、工場において、Wi-Fiや有線ネットワークの代わりに5Gを導入することで、IoTのデータを収集し、リアルタイムで分析できるようになる。また、スタジアムで大量のデータを処理して使うということも可能だ。
5Gクラウドで求められるのは、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)とMEC基盤。その上で稼働するアプリケーションの基盤としてAR/VRや人工知能(AI)などがある。EL8000では、データセンターレベルのCPUやメモリー、ストレージを備えているため、これらの技術を使って5Gクラウドを実現することが可能となっている。
EL8000は、通信事業者では基地局に主に設置されるが、ローカル5Gの場合、工場やスタジアムといったデータセンターレベルの環境を持たない場所に設置される。そのような状況でも、前述のコンパクトさや動作温度範囲によって利用が可能となっている。
また、EL8000が「ひとつの小さなデータセンターである」(北本氏)という特性を生かして、屋外に持ち出して、孤立した場所でデータセンターとして使用することもできる。たとえば、海外では軍での利用、日本では災害時での利用が考えられるという。
HPEは、通信業界に向けた取り組みとして、サムスンと協業し、vRANと5Gコアソリューションの提供により通信ネットワークの5G対応を促進することを目指している。また、Nokiaとの提携において、ローカル5Gを実現する取り組みを進めている。
HPE Edgeline EL8000 Converged Edge System