昨今の人工知能(AI)は、市場で最も声高に営業されているとともに(ハイプだという意見もあるかもしれない)、中途半端な状態でパッケージ化されて企業にとって目につきやすいかたちで売り込まれているテクノロジーの1つとなっているとの見方がある。露出過多とも言えるようなこうした状況が「AI疲れ」や、健全な懐疑論につながると考えている人もいるかもしれない。
しかし、ビジネスソフトウェアを手がけるグローバル企業IFSのリサーチによるとそんなことはないという。同社は最近、AIに対する企業の姿勢や戦略に関して、企業資源計画(ERP)や企業資産管理(EAM)、フィールドサービス管理(FSM)を含む企業向けのテクノロジーに携わる世界のさまざまな業界の企業幹部600人を対象に調査を実施した。
詳細に見てみる価値のある多くのものごとが明らかにされたものの、さまざまな業界の企業幹部が近い将来、自社の成功に向けてAIが必要不可欠な存在になると確信している点は注目に値する。事実、回答者のおよそ90%は、自社業務のさまざまな部分にAIを実装する何らかの計画があると答えている。これは重要な知見だ。機会を損なうという恐れ、あるいは鋭い洞察に基づく楽観的な考えなど、その理由に関わらず、企業幹部らはAIがもたらす可能性に夢中になっているようだ。
この調査によると、投資先として最も多くの回答者が挙げていたのは産業分野における自動化であり、44.6%の回答者がAIプロジェクトを計画していた。そして顧客関係管理(CRM)と、在庫計画および物流管理が38.9%で同率2位だった。
IFSのAIおよびロボティックプロセスオートメーション(RPA)担当バイスプレジデントであるBob De Caux氏は「AIはもはや新興テクノロジーではない。この調査が明確に示しているように、現時点においてさまざまな場所で、業務の自動化を支援するために実装されている」と述べるとともに、「現実世界において、よりタイムリーで正確かつ適切な情報をユーザーに提供することで、既存の意思決定プロセスを補完するというテクノロジーの応用事例が数多く存在している。今日のディスラプティブな経済状況において、AIやRPA、IoTといったテクノロジーが収れんすることで業務の新たな自動化形態がかたち作られてきている。こうした自動化によって勇気ある企業は、より高い競争力とともに、より大きな競合企業を出し抜くためのツールやサービスを手にするだろう」と述べている。