子どもの時の失敗が一生つきまとう?--忘れないAI、人間が許し方を教えるべき - (page 3)

Garry Kasparov

2019-12-03 07:00

 しかし、AIの手に絶大な権力を渡すことで、作られるのは正反対の社会である。過去の過ちが消せない傷跡として人の記録に残り、やり直しの機会が制限される世界である。

 この種の問題を考える際、われわれは、テクノロジーが持つ驚愕の機能と、それに伴う負の側面とのバランスを取る必要がある。われわれの目標をより効果的に達成するため、AIシステムは改善を続けるべきである。テクノロジーのスマート化や効率化が進み、これらの機器は今後ますます貴重なパートナーとなり、活気に満ち、繁栄した社会の構築に寄与してくれるはずだ。

 上述の問題は深刻なもので、早急の対応が必要である。われわれの基本的な価値観を議論の中心に据えることなくして、適切な解決策を見出すことは不可能である。

 デジタル時代に合わせて、個人のプライバシーを保護する規制を目指すべきだ(これは少なくとも、電話の発明以降続いている戦いである。詳細については、次回の記事をお待ちいただきたい)。AIの持つ圧倒的なパワーは、人類の目には見えない、データ間のつながりを見出しており、予期せぬ結果は避けては通れないものである。

 技術的な進化を検討するとともに、対象技術の規模に合わせて、よりグローバルな解決策を示す必要がある。そして、継続的な技術進化の道のりを阻害することなく、こうした権利を保護できるよう努めるべきである。幼い子どもを持つ一人の親として、筆者は自分の子どもたちがこのような革命的な時代で育つことに、不安よりもはるかに大きな期待を抱いている。

 しかし、彼らは声を上げるには若すぎる年代だ。そのため、今の子どもたちが強力なデジタルツールの恩恵をすぐに受けるには、長期的な影響を認識すべきである。

この記事はAvastのブログを翻訳、編集したものです。

Garry Kasparov

Human Right Foundation理事長

1963年旧ソ連アゼルバイジャン生まれ。現在はニューヨーク市在住。2005年からロシアの民主化運動を展開している。オックスフォード大学マーティンスクールの客員フェローとして、人と機械のコラボレーションを中心に講義を担当。ビジネスや学問、政治の領域を対象に意思決定、戦略、テクノロジー、人工知能をテーマとした講演活動を続けている。政治、認知、テクノロジー分野での執筆活動は大きな影響力を持っており、世界中の主要出版物で数多く取り上げられている。2016年にAvastのセキュリティアンバサダーに就任した。

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