生産管理と販売管理のデータをクラウドDWHに集約--抽出や加工の負担を軽減

TechRepublic Japan Staff

2019-12-04 07:00

 結婚式での婚礼衣装の企画や製造、販売などを手掛けるクラウディアホールディングス(クラウディアHD、京都市)はクラウド型のデータウェアハウス(DWH)「Oracle Autonomous Data Warehouse」を活用したデータ分析基盤の運用を開始した。日本オラクルが12月3日に発表した。

 1976年創業のクラウディアHD(連結売上高122億円、連結従業員数1109人)は、傘下にホールセール事業のクラウディアとコンシューマー事業のクラウディアコスチュームサービスを抱える。ホールセール事業では、ウエディングドレスやタキシード、ブライダルインナーなどの企画や製造、卸売りがメイン。貸衣装向けに婚礼衣装をレンタルするリース事業も展開している。

 コンシューマー事業では、直営のドレスサロンのほかにホテルや結婚式などと提携してコスチュームサロンの衣装事業、国内外のリゾート挙式を企画、運営、販売するリゾート挙式事業、直営の結婚式場を運営する式場事業などで構成される。

 クラウディアHDでは、事業拡大に伴うアプリケーションの改修に加え、これまで蓄積してきた婚礼衣裳や関連商品の生産管理と販売管理の膨大なデータも、分析の仕方を変えることで、受注傾向やトレンドの分析などに活用していきたいと考え、システムの刷新を進めているという。

 基幹系システムは、主にウエディングドレスやタキシード、アクセサリーなど受注生産業務に携わる約100人のスタッフが利用する生産管理システムと、約600人の店舗、式場運営、営業関連スタッフの利用する販売管理システムで構成。いずれも現在オンプレミスの環境で稼働している。

 15年前に構築されたシステムは、これまで改修されながら利用されてきたが、サーバーなどのトラブルなどがあり、今後の事業成長や拡大を見据えて、大がかりな改修や移行が必要と認識されている。

 受注実績や売上実績、ブランドごとの受注分析、店舗ごとの受注状況や在庫状況などの重要なデータは生産管理システムと販売管理システムで管理。経営層や各部門、店舗が必要とするデータの抽出と加工は、定期的あるいはアドホックにデータベースのアクセス権限のある情報システム担当者が手作業で展開していた。こうしたことからシステム全般を管理する担当者にとって大きな負担となっていた。

 クラウディアHDは、状況を改善するためにAutonomous Data Warehouseを導入してデータ活用基盤を構築。基幹系システムのプログラム修正や従業員への負担がかかる運用変更を避けつつ、基幹系システムのデータの活用度合いを高めるとともにシステム担当者や店舗スタッフ、経営層など全ての従業員に必要な時に必要なデータにアクセスできるようになっていると説明する。

 Autonomous Data Warehouseは、DWHのワークロードに最適化された自律型データベースクラウド。管理や拡張、監視、チューニングが自動化されるとメリットを強調。ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Oracle Data Visualization Desktop」を活用することでビジネスの状況を直感的に把握できるダッシュボードを構築、業務担当者がセルフサービスで将来予測の分析に利用しているという。

 クラウディアHDは、Autonomous Data Warehouse上で受注生産をベースとした婚礼衣裳や関連商品の生産管理データと各店舗、式場などでの販売管理データを統合してシームレスにデータを参照、抽出できる環境を整備。Data Visualization Desktopで利用者がセルフサービスで容易に必要なデータを可視化、分析できる環境を整え、情報システム担当者のレポーティング業務の負担を軽減しているとしている。

 ホールセール事業を展開するクラウディアの生産管理部長は、「これまでは、ホールセール部門とコンシューマー部門がそれぞれ必要な情報を入手して、目の前の業務に生かすというスタイルでした。Autonomous Data Warehouseに生産管理と販売管理に関する多様な情報が集約されるようになれば、これらを統合して分析することが可能になる。店舗でつかんだ顧客のニーズをホールセール部門がいち早く入手して提案に反映させることもできる可能性がある。これからは店舗など、現場スタッフが必要な情報を取り出して分析や予測ができるようになり、面白いアイデアの実現や顧客へのサービス向上につながるのではないかと期待している」とコメントしている。

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