日立製作所(日立)と損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン日本興亜)は、人工知能(AI)を活用してインフルエンザの流行状況を予測・情報配信するサービスをさいたま市で実証している。
同サービスでは、日本医師会ORCA管理機構が全国4000以上の協力医療機関から収集したインフルエンザをはじめとする感染症の罹患(りかん)者数データを市区町村別にまとめた「ORCAサーベイランス」が用いられている。感染症予報に関する実証を自治体規模で行うことは、全国で初めてだという。
インフルエンザ予報サービスのウェブサイトの画面イメージ(出典:日立、損保ジャパン日本興亜、さいたま市)
両社は、今後流行が予測されるインフルエンザの罹患率の低下に向けて、さいたま市でのインフルエンザの流行度合いを「レベル0」から「レベル3」の4段階で4週間先まで予報する地域住民向けウェブサイトを公開する。住民はウェブサイトへのアクセスにより、さいたま市における流行速報やインフルエンザの予防・処置に役立つ関連情報をいち早く把握できるという。また、小売店の店舗にあるサイネージにも予報情報を表示したり、LINEの専用アカウントを開設して予報情報を定期的に通知したりする。
同実証ではさいたま市に加え、スーパーや薬局などの小売店、鉄道会社、医薬品メーカーなどの協力のもと、市内全域の保育園、幼稚園、公立小・中学校といった教育機関や地域住民に対し、インフルエンザの予報サービスに関するチラシの配布やポスターの掲示を行うことで、利用の促進を図る。
両社はさまざまな社会課題の解決に向けた協創を推進しており、今回の実証もその取り組みの一つだという。実証を通してサービスの有用性を確認する他、地域住民における生活の質向上などを検証し、将来的なサービスの事業化や、さらなる潜在的ニーズの発掘による新たなサービスの検討を目指すとしている。