IDC Japanは12月10日、国内働き方改革に関するユーザー調査を発表した。従業員数100人以上の企業で働く経営層やIT部門の従業員に加えて、工場や販売といった現場以外の部門に勤務する従業員(オフィスワーカー)を対象にウェブアンケートで調査。企業規模による差はあるものの、産業を問わず改革が進んでいるという。
全体での実施率は75.3%で、昨年から16.3ポイント伸長。従業員数が100~999人の中堅企業では20.2ポイント伸びた65.2%で、昨年から特に大きく伸びたとしている。
産業別では、製造が84.2%でトップに立ち、次いで中央官庁、地方自治体が79.3%、サービスが75.5%と続いたという。昨年までトップだった金融は74.2%の4位。政府による働き方改革の始動から3年が経過し、企業規模による差はあるものの産業を問わず改革が進んでいるという。
働き方改革の目的は上位から「残業時間の短縮」「労働生産性の向上」「ワークライフバランスの向上」という結果。過去の調査と大差はないという。残業時間の累積時間制限、有給休暇の取得義務化など、政府の改革への対策が大企業を中心に進んだとしている。
ITの導入状況も調べている。30以上のアプリケーションやソフトウェア、デバイスについて調査し、全体で導入率が60%以上だった項目は「スケジュール管理」「ウェブ、ビデオ会議」「社内ポータル」「勤怠管理」。
全項目で大企業と中堅企業の導入率の差が大きく、15~20ポイントの開きが見られたという。産業分野別では、製造業における業務系機能のデジタル化が顕著で、金融やサービスが続いくという。
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)の導入率は全体では26.0%。金融では特に多く、41.7%に達したという。銀行、証券、保険などで多くの事例が発表されている通り、他の産業に先行して導入が進んでいるとしている。
働き方改革推進のため注目しているテクノロジーとしては、「AI、コグニティブ」に特に注目度が高くなったが、企業規模などでの格差が大きいという。大企業では49.7%と半数の企業が注目しており、産業別では金融、流通、サービスでの注目度が高いという。そのほかに注目されているテクノロジーは、「IoT」が22.8%、「モバイルベースのソリューションや機能」が21.9%。
働き方改革推進のため注目するテクノロジー(出典:IDC Japan)
IDC Japanで携帯端末&クライアントソリューションのグループマネージャーを務める市川和子氏は「国内企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)熱が高まっているが、企業はFuture of Work(FoW、働き方の未来)という考え方を導入すべきである。企業文化や働く場の変革、人材の獲得、維持、教育や従業員のエンゲージメント、社内外のコラボレーション、働き方の効率化などを包含したフレームワークで、国内企業は成功と継続のために早々に『働き方改革』からFoWへ移行すべき」とコメントしている。