日本独自のデジタルエコシステムを展開
以上が今回の共創における発表内容だが、この動きで筆者が注目したのは、SAPジャパンのデジタルエコシステムである。
図1がその全容で、中央に位置付けられているのは、同社が日本独自の取り組みとして2018年3月に発表した「Business Innovators Network」と称するコミュニティである。そのほか、地方自治体や産学連携、大手企業、スタートアップ企業などと連携した多彩なプロジェクトが進行している。
図1:SAPジャパンのデジタルエコシステム
最近では、2019年8月に新たな施設が2つ加わった。デジタルトランスフォーメーション事業に向けて顧客やパートナー企業との共創によってイノベーションを創出するための「SAP Leonardo Experience Center Tokyo」と、グローバルな研究開発組織である「SAP Labs Japan」で、いずれも東京・大手町に開設した。こうしてみると、デジタルエコシステムに必要な要素が見て取れる。
その中で、今回、早稲田大が加盟したSAP University Alliancesは図1の左下に記されている。この図をここに掲載したのは、SAPジャパンの活動を紹介するためだけではない。ここに描かれているようなデジタルエコシステムの話は、これからデジタルビジネスを推進しようという企業すべてに参考になるのではないかと考えるからだ。
デジタルビジネスはSAPジャパンであっても1社では行えない。だからこそ、エコシステムが必要なのだ。では、それを作っていく上で必要な要素は何か。どのような理念や目的を持ってエコシステムを推進するのか。分かりやすく言うと、どうやってデジタルビジネスの“仲間作り”をすればよいのか。SAPジャパンの取り組みが、そのヒントになるのではないだろうか。