ネットアップは12月10日、プライベートイベント「NetApp INSIGHT 2019 TOKYO」の開催に合わせて報道関係者向けに説明会を開催。新たに投入する新製品「All SAN Array(ASA)」について説明した。
常務執行役員 CTO(最高技術責任者)の近藤正孝氏はまず、同社が推進する“データファブリック”について説明。「ハイブリッドマルチクラウド環境においてデータ管理をシンプルに、そして統合することによって、データを活用したDX(デジタル変革)を加速」するものと位置付けた。
同氏はまた、このデータファブリックというコンセプトは、米NetAppの最高経営責任者(CEO)であるGeoge Kurian氏が5年前に言い出したもので、このコンセプトに取り組んできた結果、、現在は当初打ち出した内容がおおよそ完成したタイミングだとした。
同社が創業から20年以上一貫してNAS(ネットワーク接続ストレージ)に注力してきたことで“NASの企業”というイメージが根強いとする一方、現在では既に“ユニファイドストレージ”としてSANプロトコルもサポートしているがまだ十分に市場へ浸透していないという。それを踏まえた上で、新たにNASの機能を完全に排除したSAN専用のストレージ製品としてASAを提供すると紹介した。
ソリューション技術本部 SE第3部 部長の中川拓也氏がASAの詳細を説明。その特徴に「高性能&高可用性」「シンプル」「クラウド統合」の3点を挙げた。
ASAは、同社のユニファイドストレージ製品である「All Flash FAS」と共通のハードウェアを使用し、ソフトウェアの設定を変更したものと位置付けられる。同社のデータ管理ソフトウェア「ONTAP 9.7」以降で提供される「AFF “All SAN Array(ASA)”パッケージ」という位置付けで、当初はまず「A220」と「A700」にASAが設定される。
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導入の主な理由となっているのが、コントローラーの障害発生時に停止時間をほぼゼロで瞬時に切り替えるための「SAN アクティブ/アクティブ構成」をサポートすることだという。従来、AFFで提供していたSAN機能はNASファイルシステム「WAFL」上にSAN用のLUN(論理ユニット番号)を構築するというアーキテクチャーになっていたため、アクティブ/スタンバイで接続しておき、障害発生時にはスタンバイ側に切り替えるためのフェールオーバー時間(約2秒以下)が必要だったが、競合となるSAN専用ストレージ製品ではアクティブ/アクティブ構成をサポートしており、比較上見劣りする状態だったという。
ソフトウェアの設定変更で実現している機能なので、AFFを購入したユーザーが任意にASAに切り替えたりできるようにすることも技術的には可能だということだが、競合となるSAN専用ストレージと同様にSANのことだけ考えればいいようなシンプルさを実現したいという意図もあって、あえてSAN専用の別製品という扱いで市場投入するものだという。
なお、価格面ではハードウェア規模が同等のAFFとほぼ同額になるという。