ネットアップは12月10日、年次イベント「NetApp INSIGHT 2019」を開催。“データファブリック”を検出し、統合と自動化する「NetApp Fabric Orchestrator」と、ユニファイドのオールフラッシュアレイ「All Flash FAS(AFF)」シリーズの「AFF A220」と「AFF A700」をSAN(Storage Area Network)専用モデルにした「All SAN Array(ASA)」を発表した。
Fabric Orchestratorは現在テクニカルプレビューとして、各パブリッククラウドのUSリージョンから利用可能。AFF ASAはすでに受注を受け付け、12月中旬から出荷する。
ネットアップは数年前から、オンプレミスから各種クラウドまで幅広く一貫した機能を提供するデータファブリックを推進しており、パブリッククラウド上のストレージOSとして稼働する「NetApp Cloud Volume ONTAP」はAmazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureで利用可能。現在AWSのみ利用可能な「NetApp Cloud Volumes Service」を2019年12月からAzureの東日本リージョン、2020年2月から西日本リージョンで展開することを明らかにした。
NetApp シニアバイスプレジデント クラウドビジネスユニット担当ゼネラルマネージャー Anthony Lye氏
米本社NetAppのシニアバイスプレジデントでクラウドビジネスユニットのゼネラルマネージャーを務めるAnthony Lye氏は、高まるクラウドデータサービスに対して「毎日約10社以上の顧客が増加し、うち4社が新規顧客」と業績が堅調であることを強調する。
その一環として発表済みのFabric Orchestratorについて、Lye氏は「顧客は多くのサービスを自動化するように求め、顧客自身が自動化できるプラットフォームを望んだ」と提供理由を説明。同ソリューションはマルチクラウド環境で一元的に監視、管理できる。
データがオンプレミスやオフプレミスで格納している場合でも、検出や統合、自動化などを可能にし、「新しいタグやラベルを作成し、API経由で必要な場際に必要なデータへアクセスできる」(Lye氏)。現在USリージョンでテクノロジープレビューを公開中。日本リージョンへの展開時期は現時点で未定である。
ネットアップ ソリューション技術本部 SE第3部 部長 中川拓也氏
NetAppはONTAP搭載オールフラッシュとして「AFF C190/A220/A400/A700/A800」を展開しているが、このうちAFF A220とAFF A700にSANに特化したモデルをリリースした。
ユニファイドであるAFFはSAN、SMB、NFSといったプロトコルに対応しているが、「SANのみで事足りる顧客から『煩雑になる』という指摘を受けてきたことから、SANプロトコルに絞った」(ネットアップ ソリューション技術本部 SE第3部 部長 中川拓也氏)モデルを用意する。価格は既存製品群と大差はない。
他方で本製品群を提供する背景には、グローバルで72億ドル(約7200億円)と言われるNAS市場と比べ、SAN市場は約180億ドル(約1兆8000億円)へコミットする意図がある。