マッピングの学習では、IQ Botがラベルに対応する値の位置を帳票上で誤って取得した場合、手動で正しい位置を指定することで訓練、訂正する。指定は、画面に表示される帳票上でマウスをドラッグして実行できる。このとき、1グループあたり1帳票だけで学習させれば良い。

プロダクション化・TaskBot(RPA)の作成では、トグルスイッチ1つをオンにするだけで本番環境へ移行できる。また、IQ Botは、Automation Anywhereシステム上のRPA用コマンドの1つとして認識されていることから、IQ Bot呼び出しコマンドがRPA実行時の動作に加えられる。
実運用は、トリガー機能を使ってRPAを起動するだけだ。1ファイルあたり1つのCSVとして構造化データを出力する。
この時、たとえば、数値のみを許容する項目「金額」において数字の「0」の代わりにアルファベットの「O」が使われていたというようなことがあると、検証という作業が求められる。ユーザーが問題となる部分を検証、修正すると、IQ Botは、その結果を学習し、同様の問題に対して修正候補を表示できるようになる。さらに修正の確度が高くなってくると自動修正できるようにもなる。修正候補の表示と自動修正の確度はそれぞれ60%と90%とデフォルト値が設定されているが、変更ができる。
IQ Botを利用した場合、使い勝手の良さによりIT部門などの助けが不要なため、設定が従来よりも5~10倍早く完了すると佐野氏は述べる。運用開始後も、ビジネスユーザー自身で項目の追加などが可能であること、学習によって読み取り精度が継続的に向上することにより、自動化率が上がり続けるという。
IQ Botは現在、「11.3.3」が最新バージョンで、OCRエンジンにMicrosoft Azureのサービスである「Computer Vision」を追加したことで、英数字の手書きに対応した。パフォーマンスの向上により、処理速度が25%程短縮している。
プログラミング言語「Python」で記述されたカスタムロジックの定義も可能になった。宛先名から「様」を除外する、「▲10,000」といった表記を「-10000」に置き換えた上で数値型として扱うといった、不要な文字列の除外や置換ができるようになり、数値と単位の分離や和暦変換なども可能である。
手書き文字の認識精度向上求められる

盛田博之氏
IQ Bot 11.3.3では英数字の識字率が向上したが、日本語の活字と手書きに対する識字率向上は2020年に予定されているという。AAJのNextGenシニアプロダクトスペシャリスト マネージャーである盛田博之氏が明らかにした。
「日本の顧客に特化というところでは、日本語の帳票の活字だけでなく、手書きにも精度を要求されている」と盛田氏は述べ、「新しいOCRのベンダーを取り入れてIQ Botの識字率の向上を目指している」と続けた。
現状の用途としては、英数字の識字率向上により、鉄鋼の材質を証明する書類であるミルシート、貿易業務関連の書類、グローバル企業で使われるインボイスといった英数字で記述されたものになると盛田氏は説明。
現在、日本語の帳票でも使用されているが、高解像度のものに限られるという。そのため、今後予定されている日本語の識字率向上によって、対応可能な帳票の範囲を広げたいと考えていると盛田氏は述べた。