NEC は、PBL(Project Based Learning:自ら問題を発見し、解決する能力を養う教育手法)を担う講師を養成する「PBL導入プログラム」を2020年7月から提供する。同プログラムは、課題解決型の人工知能(AI)教育を行う大学や高等専門学校(高専)の教授や講師、ティーチングアシスタントを対象とし、3年間で国内70校への提供を目指すという。
近年AIの活用が急速に進む中、AI人材の不足が世界的な社会課題となっており、日本でも産学官共同でAI人材の育成に取り組むことが求められている。内閣府は、2019年6月に「数理・データサイエンス・AI」をデジタル社会の基礎知識と位置付け、年間約50万人の大学生・高専生全員にリテラシー教育を実施するという目標を発表した。また、AIの応用基礎教育・エキスパート教育として、PBLを中心とした課題解決型のAI人材の育成に取り組むことを掲げている。だがPBLを担う講師には、AIに関する専門知識だけでなく社会におけるデータ利用やそのプロセスに関する知見が要求されるため、全国的に講師が不足することが懸念されている。
この課題を受けてNECは、PBL導入プログラムの提供に至ったと説明する。同プログラムは、AIに関する専門知識やデータ利用の事例・プロセスなどのカリキュラムで構成され、全国8カ所で年2回開催される予定(期間は3カ月、42時間)。
同プログラムで使用するPBL教材は、滋賀大学データサイエンス学部と横浜市立大学データサイエンス学部の協力のもと、2019年4月に開講した「NECアカデミー for AI」で開発を行う。また演習環境として、データ分析を行うためのクラウド環境も提供する。
NECは、2013年からAI・アナリティクス人材育成に関して取り組み、AI人材を育成してきたと説明する。NEC アカデミー for AIでは、社会人を中心に約4000人の受講実績があるという。同社は、こういった取り組みの中で培ってきた育成の方法論を大学・大学院や産業界に還元し、年間約50万人の大学生・高専生への課題解決型AI教育の実現に取り組むとしている。
NECは「2020中期経営計画」において、AIやIoTなどのデジタル技術を活用したサービス型ビジネスを推進している。PBL導入プログラムの提供はこういった取り組みの一環であり、今回のようなAI人材の育成を通して企業や社会のデジタル変革に貢献していくという。