
達人セールスマン:SAPの元CEO Bill McDermott氏
このリストで紹介する多くのCEOとは違って、Bill McDermott氏については、2010年代の10年間をほぼすべて評価の対象とすることができた。これは、同氏がSAPの共同CEOに就任したのが2010年2月で、退任したのが2019年10月だったためだ。同氏は、SAPを再び顧客中心の企業に変え、エンタープライズソフトウェアの未来がクラウドにあることを見抜いた。同氏のもっとも分かりやすい功績は、いくつもの大型買収を進めたことだろう。SAPは、約数百億ドル規模を費やした一連の買収によって、単なるERPの企業ではなく、顧客体験やセールス、サービスのデリバリーなどを含む幅広い製品を提供する企業に変わった。しかし、おそらく同じくらい重要だったのは、SAPをオンプレミスソフトウェア中心の企業から、クラウドコンピューティングから定期的に売り上げを上げられる企業へと変えたことだ。SAPの製品ラインをより包括的なものとするためになすべきことはまだある。また、同社の製品は大きすぎ、高すぎると考えている人も多いかもしれないが、McDermott氏は強固な基礎を築いて後継者に継承したと言っていいだろう。