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確固たる独立:VMwareのCEO Pat Gelsinger氏
この10年間で、Pat Gelsinger氏の上司はEMCのJoe Tucci氏からMichael Dell氏に変わったが、VMwareの独立性を保ち、同社を仮想化ソフトウェア企業からクラウドサービスプロバイダーに変えるという同氏の決意は揺らいでいない。2012年にVMwareのCEOに就任したGelsinger氏は、AWS、Google、IBM、Oracle、NVIDIA、Nokiaなどの企業と次々に戦略的パートナーシップを結んだが、それらのパートナーシップは、直接的にはDellの業績につながらない場合もあった。また同氏は、自らが掲げる「Any Cloud、Any Application、Any Device(あらゆるクラウド、あらゆるアプリケーション、あらゆるデバイス)」というビジョンにつながる戦略的な買収を進めている。VMwareはAirWatch(元Wandering WiFi)とApteligentを買収してモバイル関連製品を強化しほか、2018年にはE8 Securityを買収し、2019年8月にはサイバーセキュリティ企業のCarbon Blackを買収する計画を明らかにした。さらに、Geslinger氏のクラウド戦略に従って、Heptio、Bitnami、Avi Networks、Pivotal(EMCが買収されたことでDellの子会社となっていた)なども買収した。
2020年代のVMwareが、やはりクラウドに軸足を移しているMicrosoftやIBM、Oracleなどの大手IT企業や、Kubernetesなどの新たな技術との競争に直面することは間違いない(Kubernetesなどの普及は、同社の仮想化ソフトウェア「vSphere」のオンプレミス導入に対する需要を減少させる可能性がある)。しかし、VMwareは売上高の2桁成長を達成し、20億ドルのキャッシュを持ち、2020会計年度の予想フリーキャッシュフローが35億7000万ドルに達する。Gelsinger氏はVMwareを次の10年に向けた絶好のスタート地点に立たせたと言えるだろう。