
安定請負人:HPの元社長兼CEO/HPEの元CEO Meg Whitman氏
eBayの元CEOであるMeg Whitman氏は、2011年にHewlett-Packard(HP)のCEOに就任した。同社のCEOは、それまでの12年ほどで数回変わっており、歴史あるコンピューター会社であるHewlett-Packardは危機に瀕していた。2010年には、論争の中でMark Hurd氏がCEOを辞任した。Whitman氏の前任者であるLeo Apotheker氏は、CEOに就任してから1年も経たないうちに、取締役会によって更迭された。HPは収益を失い続けており、株価は急落した。Whitman氏の仕事は、数々の間違いを重ねて傾いた船を立て直すことだった。同社は、研究開発費の削減、「TouchPad」でのタブレット事業、100億ドル規模のAutonomyの買収、「webOS」デバイス事業からの撤退(HPは2010年に12億ドルでPalmを買収したばかりだった)、PC部門の売却計画など、失敗を繰り返していた。
Whitman氏は、CEOの座に着くと、すぐにPC事業の売却計画を破棄した。同氏は、この部門はほかの部門と密接に絡み合っており、分離で生じるコストが高すぎると説明した。さらに、PC部門とプリンター部門を融合させる再編計画に着手すると、2014年までに4万5000人以上の人員削減計画を明らかにし、2015年には同社をHewlett-Packard Enterprise(HPE)とHP Inc.という2つの上場企業に分割した。Whitman氏は当初、新HPの会長とHPEのCEOを兼務したが、2017年にHPの取締役会を離れ、2018年にはHPEのCEOも辞任した。Whitman氏が去ってからのHPとHPEは、今も旧Hewlett-Packardの往年の輝きを取り戻せていない(HPは米Xeroxから買収を提案されている)。それでも、重病人の病状を安定させた同氏の手腕は、このリストに挙げるにふさわしいものだった。