電子契約が索引する“リーガルテック”、2023年まで1割成長--Holmesの見方

藤代格 (編集部)

2019-12-19 07:15

 SaaSをはじめとしたテクノロジーの活用がさまざまな分野で増えている。金融向けの「FinTech(フィンテック)」、人事業務向けの「HRTech」などとともに台頭しつつある分野が「LegalTech(リーガルテック)」だ。

 矢野経済研究所(中野区)では、“法律サービスの利便性を向上させるために開発されたIT製品やサービス”と定義。デジタル化、働き方改革、ペーパレス化など昨今の流れを受け必要性が高まっていると説明。

 2018年度の売り上げベースが228億円だった市場は、2019年に前年比13.2%増の258億円が見込まれている。2016~2023年の年平均成長率(CAGR)は10%を超え、353億円に到達する見込みだという。

 牽引役は電子契約サービスだ。紙から切り替えることで納入義務がある印紙税が不要。郵送費も合わせたコスト削減につながる。加えて、契約締結スピードの向上、手続工数の削減など、生産性の向上も導入目的となりつつあるという。

Holmes作成カオスマップ(出典:Holmes) Holmes作成カオスマップ(出典:Holmes)
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 市場の盛り上がりを受け、さまざまなサービスが登場。12月12日には契約全般をマネジメントするクラウドサービス「ホームズクラウド」を提供するHolmes(千代田区)が、16日には契約書管理サービス「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコム(港区)が、リーガルテックサービスを業界地図に表現したカオスマップを公開。各サービスを細かく分類、紹介している。

笹原氏
笹原氏

 Holmesで代表取締役 最高経営責任者(CEO)を務める笹原健太氏は「契約という行為は“(一つの)契約書”にとどまらない。それぞれのライフサイクルがあり、終了するまで変更、更新の可能性がある。各契約には付随、関連する契約も発生し、企業の場合はそれらに関連した業務が部門をまたいでいく」と説明。

 企業の活動すべてが契約に紐づく反面、それらは作成から運用まで、非常に複雑で煩雑になっていると語る。

 ホームズクラウドは、紙と電子の双方で契約行為から文書での管理までをカバーする「コントラクトクラウド」、契約をプロジェクトごとに紐づけ、書類、業務担当間のコミュニケーションまでを一元管理する「プロジェクトクラウド」、Q&Aややり取りなど、契約に関連するナレッジを部署横断で蓄積、共有、活用する「ナレッジクラウド」の3サービスで構成。“契約全体のマネジメントシステム”として提供している。基本料金1アカウント8180円から提供するが、顧客に応じたニーズが多岐にわたるため、別途見積もりが必要な状況になっているという。

一連の流れに対応するサービスで構成(出典:Holmes)
一連の流れに対応するサービスで構成(出典:Holmes)

 「2020年は契約(の在り方)自体が大きく進化する年になると捉えており、プロダクトも大きく進化させる。しかし、契約業務全体で見るとユーザーごとそれぞれの課題やニーズは異なり、各社の提供サービスもさまざまな特徴がある。自社だけですべては難しい」(笹原氏)

 自社単体としてのサービスにとどまらず、さまざまなアプリケーションと連携、人や部署のニーズごとで活用するサービスを選択できる「契約マネジメントアプリケーションプラットフォーム」を目指すと語る。

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