IDC Japanは12月19日、大規模データ流通サービスプラットフォーム市場に関する今後の展望を明らかにした。これによると、日本政府が提唱する未来の社会像「Society 5.0」で求められる大規模なデータ流通サービスの基盤には、スケーラビリティー、エッジの活用、リアルタイム処理、セキュリティおよびガバナンス機能の提供などが重要な要件になるとしている。
今後、あらゆる分野で4K/8Kなど高精細画像の人工知能(AI)による分析が行われるようになると、データ流通サービスプラットフォームには、これまでとは桁違いのビッグデータ処理を可能とするスケーラビリティーが求められる。また、クラウドの処理能力がボトルネックとなるケースが多いことから、これを補完するエッジでの処理もプラットフォームの重要な要件になるとIDCは見ている。
Society 5.0では、企業間のデータ共有などによるデータの利用や活用(データ流通)の推進が重視されている。この背景には、今後、IoT端末によって膨大なデータの収集が可能になり、収集されたデータを組み合わせて分析することで、さまざまな新しい価値の提供が可能になるとの共通認識があるという。2020年春にサービスを開始する予定の第5世代移動体通信システム(5G)は、この流れを強力に後押しするとIDCでは考えている。
また、データ活用の拡大には、多くの企業が参加する共通サービス基盤の形で必要な処理を提供することが求められる。同基盤はデータ活用のサイロ化を回避するとともに、ITリソースの効率利用にもつながるという。自社でこのようなシステム基盤を構築する力のない企業もデータ流通を参加することができ、データ活用の裾野を広げることができるとしている。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は「Society 5.0で求められる大規模なデータ流通基盤に必要な拡張性や即時性などを実現するには、多くの技術革新が必要である。ITサプライヤーにとって、そのような要素技術を提供可能な状態で保有することが、産業分野の企業とのパートナーシップ獲得における切り札の一つとなる」とコメントしている。