また、タイムラインビューは1年間の障害状況をさかのぼって表示し、影響範囲の把握に活用できる。各事業者単位やサービス単位で設定可能なアラートを事前に設置すれば、障害発生時の迅速な対応も可能だ。タイムラインビューにフィルターを掛け合わせることで、企業は各事業者の可用性や信頼性を比較できる。
「SD-WANを使っている企業なら、各事業者の有効性を判断するための評価手法となる」(Medina氏)

11月に発生したOffice 365の障害発生状況をInternet Insightsのタイムラインビューで表示

サウザンドアイズ・ジャパン 代表 尾方一成氏
日本法人代表 尾方一成氏も「アラスカ航空が弊社ソリューションを採用しているが、あちらはインターネット品質が悪く、MPLSも高コスト。SD-WANへの移行に二の足を踏んでいた。だが、Internet Insightsで計測したところ、『このパフォーマンスならいける』と判断し、現在はSD-WANの監視に用いている」とInternet Insightsの利点を語った。
記者会見では、昨年に引き続き、2019年の「クラウドパフォーマンスベンチマークレポート」も披露した。AWS、Azure、GCPにAlibaba Cloud、IBM Cloudを加えて「エンドユーザー視点の測定」「USブロードバンド事業者別測定」「AZ(AvailabilityZone)間の測定」「リージョン間の測定」「AWS Global Acceleratorの実測」「マルチクラウド接続」といった観点から調査した。
ThousandEyesではユーザーが遠方のリージョンにアクセスする際、多くの経路をインターネット、リージョンに近づくとクラウドバックボーンに入るタイプを「インターネット経由型」、できるだけクラウドバックボーンを利用するタイプを「バックボーン拡張型」と位置付けている。
2018年に韓国からインドのAWSリージョンへアクセスする際は米国を経由しているため、235ミリ秒の遅延を確認しているが、今年2019年の調査ではシンガポール経由でアクセスするようになり、ネットワーク遅延は142ミリ秒まで短縮したという。
このような背景から尾方氏は同レポートの概要として「バックボーン拡張型はAzure、GCPの2社。インターネット経由型はAlibaba CloudやAWS。リージョンによって両者を使うハイブリッド型がIBM Cloud。ただ、AWSはGlobal Acceleratorを有償サービスとして提供し、低遅延を求められるゲーム業界や金融系企業が関心を寄せている」と紹介した。同レポートの概要は公式ブログで確認できる。