2020年が明けた。朝日インタラクティブが運営するZDNet Japan(以下、ZD)は大企業のIT部門を中心に、TechRepublic Japan(同TR)は中堅中小企業のIT部門と大企業の非IT部門を中心に、それぞれ議論すべき話題を提供している。2つの編集部が意見を出し合い、2019年を振り返りつつ、2020年は何を議論すべきなのかをまとめた。第1回に引き続き、参加者は以下の通り。
ZDNet Japan編集部:國谷武史(編集長)、藤本和彦、大場みのり、海外記事担当(以下、海担)
TechRepublic Japan編集部:田中好伸(編集長、ZD副編集長を兼務)、河部恭紀、藤代格
撮影:山川晶之 (編集部)
RPAで人間の介在を減らす
ZD國谷:2019年は政府主導による企業での働き方改革が本格化しました。TechRepublic Japanは3月初めにこのテーマでセミナーを開催し、2020年1月の開催も控えていますよね。インパクトのある内容を示せているのではないでしょうか。2019年の働き方改革について、読者はどのような関心を持ったと思いますか。
TR河部:2019年4月から働き方改革法が施行され、大企業での残業時間の上限規制が始まり、2020年4月からは中堅中小企業も対象に含まれるため、働き方改革関連記事はよく読まれています。
以前からRPA(ロボティックプロセスオートメーション)も話題になっていましたが、RPA製品の機能を示すよりも、とある企業が使った際の苦労など事例を含めた記事の方が反応もよいです。現場レベルに「RPAに取り組まなくては」という意識が広まったのでしょう。働き方改革をITという文脈で見れば、RPAは取っ掛かりやすい分野だと思います。
ZD國谷:過去にはモバイルPCやグループウェアを高度に使うことや、「Slack」に代表されるビジネスチャットなどのコミュニケーションツールで効率化する取り組みがありました。これらに対して、RPAは業務プロセスの中で人を代替する存在のように思います。このままRPAが普及すると、2020年の働き方改革における効率化トレンドはどのようになりますか?
TR河部:RPAが高度化し、ソリューションによっては人工知能(AI)を活用するケースもあり、人の介在を減らす流れが見てとれます。
ZD國谷:これまで主流だったPCベースのRPA導入は、結果的に管理の行き届かない「野良ロボット」を増やしてしまい、企業として取り組むべきガバナンスやセキュリティの課題が発生します。2020年はさらに顕在化するのでしょうか?
TR河部:メーカーも管理するサービスやツールをリリースしています。ユーザー企業としては、ある程度までは許容し、社内でRPA認知度が高まったタイミングで対応するケースもあります。以前取材したニチレイロジグループが述べていました。