後発でも成熟市場で成長--ウェブ会議「Zoom」アーキテクチャの独自性 - (page 4)

田中好伸 (編集部) 阿久津良和

2019-12-25 07:00

――Zoomは米国大手企業で採用されているが、広くユーザーを獲得できた理由は何だろうか。

佐賀氏 軽く、切れず、つながりやすい、だろうか。日本のお客さまからも同様の評価をいただいているが、「機能追加はありがたいものの、基本的な安定性は堅守してくれ」といった意見は多い。これが数字で表しきれない部分。一度Zoomを使っていただければ気に入ってもらえる。

 満足度の高いサービスでもNPS(ネットプロモータースコア: 顧客推奨度)は50ポイント前後だが、Zoomは72ポイントをいただいた。お客さまがZoomに満足し、次の人に紹介してもらうのが、われわれの励みになっている。

 ウェブ会議の歴史を振り返ると、その時代のネットワークインフラに則したデザインが必要だった。たとえばWebexは18年前のネットワークに沿ったデザインだが、Zoomは6~7年前のテクノロジーに則している。同時にデバイスの性能向上も大きい。専用機を用意せずとも、汎用機で処理できるほどデバイス性能が高まっている。

安田氏 Zoomは特定のハードウェアを必要としていない。室内にマイクとスピーカー、そしてカメラを設置すればオンライン会議を手軽に構築できる「Zoom Room」も利用するまでの障壁は低い。

 よくお客さまから「会議室にサーバーを置きたくない」という声をいただくが、当然ながらZoom Roomの利用にサーバーは不要のため、運用コストも抑制できる。

――社内のZoom利用という観点で気になったのだが、Zoomを導入する部署に傾向はあるのだろうか。

佐賀氏 Zoomは営業部やマーケティング部、人事など部署単位で利用開始し、そこからIT部門に提案、全社導入に進むことが多い。部門単位の導入でお困りの声を聞くのが「シャドーIT」。

 ウェブ会議システムに投資したはずなのにリターンが不明確な状態に陥ってしまう。Zoomが重宝されるのは、無償と有償のアカウントを含めて社内利用状況を可視化できる点。ダッシュボードを見れば利用率と費用対効果が分かる。

Zoomダッシュボードから利用者のデバイスや接続形式、利用時間などを確認できる
Zoomダッシュボードから利用者のデバイスや接続形式、利用時間などを確認できる

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