第4回:「カスタマーサクセス」で考えるITの使い方--編集部新春放談 - (page 3)

阿久津良和

2020-01-14 07:00

ZD國谷:そこは、サービスプロバイダーもビジネスの観点からできるだけ標準の機能を顧客に提供することに徹し、顧客の多様な目的を実現していくカスタマーサクセスの領域には踏み込みづらいのかもしれません。

 例えば、かつてはERP(統合基幹業務システム)パッケージを導入して、その機能にビジネスプロセスを合わせれば「世界レベルの業務」を実現できるとうたわれていましたが、実際にはユーザー企業が自身の要望に合わせてアドオンやカスタマイズを重ね、スパゲティ状態になってしまった経験があります。その意味でカスタマーサクセスという文脈からユーザーがSaaSを自社の要件に寄せて使おうとすると、ERPで起きたことが再来するかもしれません。

TR田中:ERPの議論でよく言われるのが「服に身体を合わせる」のか「身体に服を合わせるのか」。SAPなどのERPパッケージベンダーは前者を提案し、日本の企業はそれを嫌がって後者を選択してきました。そこで出てきたのがアドオンです。カスタマイズしすぎてアップグレードできないという問題につながりました。

 日本企業もシステムの導入や使い方をもう一度検討すべき時期にあると思っています。経済の動きは激しく、合併や買収も増えています。日本企業が従来の方法を選択していては世界に追いついていけません。むしろパッケージにある標準で用意したベストプラクティスのプロセスを選択するという意見も当然のように出ています。欧米では、事業売却は当たり前の時代、システムの活用も標準プロセスに合わせるべきかどうかをもう一回議論すべきでは、と思っています。

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