本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ソーラーウインズ・ジャパンの河村浩明カントリーマネージャーと、パロアルトネットワークスの林薫 日本担当最高セキュリティ責任者の発言を紹介する。
「複雑化するIT環境に対応したネットワーク管理への需要はますます高まる」
(ソーラーウインズ・ジャパン 河村浩明 カントリーマネージャー)

ソーラーウインズ・ジャパンの河村浩明カントリーマネージャー
ネットワークやシステムなどの統合管理ソフトウェアを提供する米SolarWindsの日本法人ソーラーウインズ・ジャパンのカントリーマネージャーに2019年5月に就任した河村浩明氏がこのほど筆者の取材に応じ、同社のビジネス状況について語った。冒頭の発言はその際、今後のネットワーク管理の需要について答えたものである。
河村氏はこれまで、EMCジャパンや日本オラクルで役員を務め、シマンテックやDropbox Japanの社長を歴任してきたIT業界のベテラン経営者である。筆者も同氏がシマンテック社長に就任した2010年から取材でたびたびお目にかかってきたが、今回SolarWinds日本法人代表に就いて本格的に動き出したということで、あらためて話を聞きにうかがった。
同氏によると、SolarWindsは1999年に米国テキサス州オースティンで、当時ウォルマート・ストアーズでネットワークエンジニアを務めていた創業者が「自らの手で本当に使いやすいネットワーク監視ソフトウェアを開発し提供したい」と思い立って設立した会社である。それが現在では、世界190カ国に32万社以上、日本でも2000社以上の顧客数に達しているという。
SolarWindsが提供しているソリューションは、図1のような構成からなる。ポイントは、オンプレミスにもクラウドにも対応し、全てに共通して利用できる機能を「Orionプラットフォーム」として位置付け、その上でそれぞれの製品が活用される仕組みだ。今でこそ、図1のように製品領域が広がっているが、原点はネットワーク監視ソフトェアである。

図1.Orionプラットフォームとソリューション構成(出典:ソーラーウインズ・ジャパン)
具体的な製品群は、図2の通りである。河村氏によると「ネットワーク管理やシステム管理の分野は競合も少なくないが、ここまできめ細かい製品群を用意しているのは当社だけだ。さらに価格が一桁違うほど安価なのも大きな差別化ポイントだ」と説明した。

図2.具体的な製品群(出典:ソーラーウインズ・ジャパン)
安価との話が出たが、同氏によるとSolarWindsの真骨頂は、同社ならではのビジネスモデルにあるという。そのポイントを次のように挙げた。
「ITプロフェッショナルに使ってもらえるものにするため、当社製品のユーザー(エンジニア)が集まった独自の開発コミュニティーから出てきた要望に基づいて製品を強化し続けている。こうすれば、既存ユーザーも引き続き使い続ける。また、ITプロフェッショナルが自ら決裁できるような予算範囲で価格設定を行っている。さらにローコストオペレーションを徹底し、収益を上げることのできる仕組みにしている」
こうしたビジネスモデルは、河村氏にとっても「私もこれまでさまざま会社の経営に携わってきたが、自らのビジネスモデルにこれだけ徹底して取り組んでいるところは初めてだ」とのことだ。
日本ではまだ知名度が低いSolarWindsだが、これから急速に話題に上っていくだろう。そのポテンシャルを強く感じた。河村氏の経営手腕にも注目していきたい。