NECは1月7日、コミュニケーションロボット「PaPeRo i(パペロアイ)」を活用した高齢者の見守りと生活をサポートするサービス「みまもり パペロ」を兵庫県市川町へ提供すると発表した。市川町では公募などでトライアルのモニターを募集し、2月1日から2カ月間の無償トライアルを実施する。また4月以降、同トライアルの結果を踏まえて有償サービスの提供に取り組むという。

PaPeRo iの利用イメージ(出典:NEC)
みまもり パペロは、顔検知機能や音声認識AI(人工知能)、クラウドサービスを融合し、1人で暮らす高齢者の安全な暮らしを支援するとともに、ロボットと会話することや高齢者と離れて暮らす家族とのコミュニケーションを豊かにすることで孤独感や退屈感を癒し、生活を活性化することを目的としている。
具体的には、1日3回ロボットが声掛けをして高齢者の同意を得た上で写真を撮影、家族のスマートフォンなどに写真を送る「見守り」機能や、家族から高齢者にメッセージや写真が送れる「コミュニケーション」機能、高齢者とロボットが自由に会話できる「おしゃべり」機能、防災メールの自動配信など、12種類のメニューがある。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)連携により、自治体独自のサービスを開発することも可能。

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市川町では高齢者の1人暮らしや高齢者世帯が増えてきており、「話し相手がいない」「日中1人で心配な時がある」などの相談が寄せられているという。地域包括支援センターは介護予防事業として公民館などで高齢者向けのイベントを開催しているものの、こういった会に参加できない人々もいる。そこで市川町では、みまもり パペロのトライアル実施に至ったとしている。
NECは2018年7月から、同サービスの実証実験を愛媛県西条市で実施。その結果、高齢者から家族への写真送信は平均1.5回/日、メッセージのやりとりは平均3回/日など、家族とのコミュニケーションに活用された。PaPeRo iに対しても、「すごく癒される気がする」「いろいろと教えてくれてありがたかった」などのコメントが寄せられ、好意的に受け入れられたという。これらの評価を受けて西条市は、2019年1月に同サービスを有償化して提供している。
NECは引き続き全国の自治体や団体、民間企業などと連携してサービスを拡大し、今後2年間で1万人にサービスを提供することを目指している。