Kubernetesの繁栄
クラウドに関してこれだけ触れておきながら、「Kubernetes」の話をしないわけにはいかない。Kubernetesは、2019年のIT業界を席巻した、オープンソースのコンテナオーケストレーション技術だ。特に、アナリティクスの世界にはKubernetesが浸透している。Kubernetesに関して、O'ReillyのPallanck氏は「…Kubernetesの影響は大きく、さらに大きくなりつつある。2020年には、企業がKubernetesを導入するペースがさらに上がるだろう」と述べている。 またAlluxioのHaoyuan Li氏は、「2020年に入ると、Kubernetesの分野では、AIとアナリティクスのワークロードへの移行がさらに主流になる」と述べている。
Canonical(Linuxディストリビューション「Ubuntu」の開発を主導している企業)の製品担当責任者Stephan Fabel氏は、「Kubernetesは現代のクラウドインフラストラクチャーにとって不可欠なものであり、新たな技術の構築や実験を行う際のゲートウェイとして機能している。(中略)この傾向は、2020年にさらに強まる」と、Kubernetesに対する熱意を示している。ただし同氏は、「一部の企業は、自社の目的にとってKubernetesが本当に正しいツールなのかを疑問視するようになるかもしれない。この技術は非常に大きな恩恵をもたらすこともあるが、管理が複雑になり、専門的なスキルを持つ人材が必要になる場合もある」とも警告している。スキルの問題に関しては、O'ReillyのPallanck氏も同様の見解を示しており、「2019年にLinkedInで全国的な求人情報検索を行ったところ、Kubernetes関連の職位には、1万6744件の欠員があることが分かった」と述べている。
超絶スキル
アナリティクス人材の不足に対して、業界としては何ができるのだろうか。MicroStrategyの世界的教育担当エグゼクティブバイスプレジデントHugh Owen氏は、それにはすでにいる技術者をトレーニングするしかないと考えている。Owen氏は、「企業組織は、優秀なアナリティクス人材を求人で獲得するだけでなく、今いる従業員の教育やスキルの再習得、能力アップなどについても取り組む必要がある。これは、データに基づく意思決定に対するニーズが高まっている一方で、人材不足が深刻化しているからだ」と主張している。
人材不足はあらゆる分野で起こっているが、特にAIの分野では顕著だ。Fractal Analyticsの欧州・北米業務担当マネージングディレクターJohn LaRocca氏は、「AIを使ったソリューションに対する需要は、今後もAI人材の供給を上回る。この状況に、企業は、より多くのアプリケーションをAIのプロフェッショナルではない人材で開発できるようにすることで適応していくため、開発プロセスの社会化が起こる」とコメントしている。
同様に、Borba Consultingの業界専門家であるMarcus Borba氏は、MicroStrategyが発表したレポートの中で、「機械学習を用いた開発に対する需要は指数関数的に増している。機械学習ソリューションの急速な増加は、専門的な知識がなくても簡単に利用できる、すぐに使える機械学習モデルに対する需要を生み出した」と述べている。