凸版印刷は人工知能(AI)を活用し、印刷物やデジタル媒体について業界特有の表記や専門用語を学習して企業ごとの基準に合った文章を校閲・校正する「AI校閲・校正支援システム」を2019年10月に開発した。第1弾として、金融業界にサービスを提供している。
みずほ銀行は同システムを採用し、1月に広告制作物における業務効率化に向けて運用を開始する。凸版印刷とみずほ銀行は2018年12月~2019年3月までの約4カ月間、同システムの実証実験を共同で実施していた。
実証実験では、同システムを広告制作物における校閲・校正業務に活用することにより、作業者の負荷軽減やヒューマンエラーの減少といった業務効率効果が確認されたという。
(出典:凸版印刷)
みずほ銀行では、商品・サービスの担当部門が制作したパンフレットなどの原稿について、確認部門が専門用語などのレギュレーションチェックを行っている。制作レギュレーションを複数の作業者に徹底することは難しく、確認者の多重チェックや制作者の修正作業などが発生し、制作と確認の両部門に負担がかかっていたという。また、制作レギュレーションに対する校正スキルや知識の属人化も課題となっていた。
同システムの導入により、AIを活用した誤表記の検出、制作レギュレーションの管理が行われ、品質維持が可能となるという。また制作時のチェックから赤字入れ、修正指示出しまでの制作フロー全体をデジタル化・効率化できるとしている。
凸版印刷は、2020年度までに20社の導入、2022年度までに関連受注を含めて累計100億円の売り上げを目指している。また今後は金融機関以外の業界に向けて、企業特有の表記や専門用語の組み込みとAIによる学習を進めていくという。