英政府、5G構築へのファーウェイ参入を容認--米の圧力に屈せず

Katie Collins (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2020-01-29 10:33

 英政府は現地時間1月28日、同国の5Gネットワークの非中核部分の構築に、中国ハイテク大手の華為技術(ファーウェイ)の製品を使用することを容認した。ただし、いくつかの厳しい制約が課される。ファーウェイ機器は、機密情報を扱う場所からは排除され、また、英国における市場シェアは35%までに制限される。

ファーウェイのロゴと英国旗
提供:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

 英国は、軍事基地と核施設、およびCritical National Infrastructure(最重要国家基盤)における安全関連および安全重視のネットワークでのファーウェイ機器の使用は許可しないとした。英国の5Gネットワークの中核部分の構築にも、同社製品の使用は許可されない。同社製品の使用は、機器や装置を携帯電話基地局に接続する、周辺アクセスネットワークに限定される。

 デジタル・文化・メディア・スポーツ省のNicky Morgan大臣は発表の中で、「できるだけ早期に世界クラスの接続性を実現したいが、そのために国の安全を犠牲にしてはならない。リスクの高いベンダーはこれまでも今後も、われわれの最も機密なネットワークから排除される。政府は、通信ネットワークのサプライチェーンを調査し、本日、リスクの高いベンダーの製品に対する厳しい制約を設けることが必要だという結論に至った」と述べた。

 ファーウェイはこの決定を称賛し、同社は英国の通信事業者に15年以上前から製品を供給してきたと述べた。

 「ファーウェイは、5G展開を計画どおりに進めるために当社顧客との連携を続行してよいという英政府の承認を得て、胸をなでおろしている」と、ファーウェイのバイスプレジデントを務めるVictor Zhang氏は声明で述べ、「多様なベンダーで構成される市場と公正な競争が、ネットワークの信頼性と革新に不可欠だという見解に同意する」とした。

 米国での反応は芳しくない。米上院情報問題特別調査委員会に所属するTom Cotton上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は、ファーウェイをKGB(ソ連国家保安委員会)になぞらえ、米国は英国との機密情報共有を見直すべきだとした。

 ファーウェイの将来を左右する英国の決断は、選挙や欧州連合(EU)離脱の議論によって長引き、1年以上遅れてようやく下された。その間に、2人の首相(Theresa May前首相とBoris Johnson現首相)が、この問題に関する決断を先送りにしていた。

 ファーウェイを英国から排除するか否かという、長期にわたって続いた議論の中心にあったのは、英国の国家インフラの制御が中国に奪われるのではないかいう懸念だ。英国のネットワークは長くファーウェイ製品に頼ってきたが、ここ数年は米国から、セキュリティの懸念を理由にこれを見直すよう強い圧力を受けてきた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  2. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  3. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]