日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、「IBM Cloud」上で人工知能(AI)「IBM Watson」を活用した「AIオペレーター支援システム」をケーブルテレビ放送局・インターネットサービスプロバイダーのイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)に提供した。同システムは、イッツコムが提供するサービス機器の接続や設定、不具合といった技術的な問い合わせ窓口「テクニカルサポートセンター」において、1月に本格運用を開始した。
項目の一例 (オペレーター利用画面から)(出典:イッツ・コミュニケーションズ、日本IBM)
イッツコムでは、テレビやインターネット、電話、IoT(スマートホーム)など多岐にわたるサービスの技術的な問い合わせに応対している。だが、オペレーターの離職や熟練したオペレーターのノウハウの引き継ぎに加え、管理者がオペレーターに顧客応対の品質をフィードバックする業務の負荷が課題となっていた。
そこで同社では、通話・保留・事後処理にかかる時間の短縮や、リアルタイムモニタリングによる業務の効率化、通話ログの聞き起こし・応対内容のレポート作成時間の削減、新人教育研修時間の短縮などに寄与するシステムの導入を検討していた。
AIオペレーター支援システムは、IBM Watsonの「Speech to Text」を活用して音声をテキスト化し、「Watson Discovery」のAI検索エンジンで会話ログから最適なコンテンツを検索する。さらに、オペレーターと管理者が容易に操作できる問い合わせの会話文とFAQ(Frequently Asked Questions)の関連度を強化する機械学習画面も搭載している。
機能や期待される効果はオペレーターの場合、1通話ごとにAIの自動通話品質フィードバックが可能になること、AIにより通話を音声認識して回答候補を自動検索できるようになること、通話テキストを用いて通話の振り返り学習が可能になることがある。
管理者に関しては、リアルタイムモニタリング機能によるオペレーターへの早期フォローや、応答品質評価レポートの自動生成による管理者の業務効率化、業務効率化による顧客対応への取り組みの強化が期待される。
オペレーターの応対品質評価レポート (イメージ)(出典:イッツ・コミュニケーションズ、日本IBM)