Dean氏が挙げたもう1つの難関は、「サーバーベースの大規模な環境が必要だったMLモデルをデバイス上で実行する」ための能力だ。
Googleはこの点で既に大きく歩を進めており、同社のオンデバイス翻訳サービスは59種類の言語に対応している。
Googleと業界の大半はAI分野において、この数年で長足の進歩を遂げたものの、同テクノロジーが持つ潜在的な短所に対する大衆の気付きと、関連規制が業界に影を落とそうとしている。
これを受けてGoogleは、同社のAIリサーチに適用する倫理ガイドラインについて語り始めるようになった。1年半ほど前に同社は、AIアプリケーションの開発指針となる一連の原則を公開した。また同社は、武器のような、害をなす可能性のあるテクノロジーを目的としたAIを構築しないとコミットした。
Dean氏は、「こういったシステムについて考え始め、このリサーチが世に広まるようになるにつれ、このような取り組みがもたらす意味合いを考えることと、特定の問題に対する適用方法と、適用すべきでない問題についてどのように考えるべきなのかが本当に重要となっている」と述べた。
Googleのコミットメントを見たうえで、構築対象テクノロジーの一覧から「武器を搭載したドローン」を抹消するのは簡単だ。しかし、害をなす可能性のあるAI駆動テクノロジーは(一見すると無害に見えるかどうかにかかわらず)数多く存在している。
オープンソース化によって生み出される創造性
GoogleのMagentaチームでは、芸術や音楽の創造におけるMLの役割を探求するオープンソースのプロジェクトが進行中だ。その目標には、ディープフェイクを奨励することなく、音声合成分野を発展させていくというものが含まれている。このチームは28日に、開発したアルゴリズムによって人の歌声や、楽器の音、猫の鳴き声などの特定の音声入力を受け取り、フルートやバイオリンといった他の楽器の音に変換するというデモを実施した。
これは他人の声を合成するようにはできていない。チームは知的なスピーチを生成できないよう、音程とテンポのみを意図的に訓練するようにした。