調査

9割の企業が働き方改革を実施、効果実感は半数にとどまる--デロイト調査

ZDNET Japan Staff

2020-02-06 16:55

 デロイト トーマツ グループは2月5日、「働き方改革の実態調査2020」の結果を発表。働き方改革を推進/実施とした企業は約9割を超えた一方で、効果を実感している割合は半数程度にとどまっており、企業の働き方改革は「まだ道半ば」の状態にあるという。

 同社では、働き方改革を単なる長時間労働の是正にとどめず、「生産性の向上と従業員の働きがい向上の両面の実現」と定義する。日本企業を対象に2013年から調査を実施しており、今回で4回目になる。調査期間は2019年10月25日~12月27日で、277社から有効回答を得た。

働き方改革の取り組み状況(出典:発表資料より) 働き方改革の取り組み状況(出典:発表資料より)
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各目的に対する効果実感の割合 各目的に対する効果実感の割合
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 約9割の企業が働き方改革を推進/実施している状況について、デロイトでは「働き方改革の着手はほぼ一巡」したと見ている。働き方改革を実施する目的について、88%の企業は「従業員満足度の向上・リテンション」を挙げる。多様な人材の維持獲得やダイバーシティー&インクルージョン(D&I)の促進を挙げる企業は67%、採用競争力強化とコンプライアンス対応は50%だった。

 人材不足を背景に、多くの企業は従業員の定着と新規採用の強化を目指している。その結果、人材目線での働き方改革を推進する動きが加速したようだ。

働き方改革を実施する目的 働き方改革を実施する目的
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 では、企業は実際にどのような施策を検討しているのだろうか。上位の5つを見ると、「長時間労働の是正」が95%で最も多く、それに次いで「業務プロセス・ルールの見直し」(59%)、「オフィス外勤務の促進」(57%)、「組織風土改革」(46%)、「オフィス環境の整備」(45%)だった。

 働き方改革関連法の施行や生産性向上のための業務効率化、多様な働き方の推進が後押しになった形だ。副業や兼業を奨励(14%)する動きも活発化しており、エンプロイーエクスペリエンス(従業員体験)を重視した施策も注目されているという。

最も検討された働き方改革の施策 最も検討された働き方改革の施策
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 働き方改革の効果実感について、目的別に割合を見てみるとばらつきがあることが分かった。残業時間に制限を設けるなどの「コンプライアンス対応」は80%が効果を実感しているが、「従業員満足度の向上・リテンション」(61%)、「多様な人材の維持獲得、D&I促進」(54%)、「採用競争力強化」(48%)など、効果がまだ十分に実感されていないものもあった。

 「デジタルトランスフォーメーション推進」や「セキュリティリスク低減」などのテクノロジーを活用した施策も効果を実感した割合が高かったが、これらを働き方改革の目的として重視している企業は全体のうちのわずかで、企業によって検討している施策が大きく異なるという。

各目的に対する効果実感の割合 各目的に対する効果実感の割合
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 今回の調査結果を踏まえ、デロイトでは、ほとんどの企業が「コンプライアンスの徹底」を終えた段階にあり、一部の企業が「既存業務の効率化」を推進中という進行具合を分析した。その上で、「多様な働き方によりできた時間や柔軟性の高い考え方をベースに従業員が自己成長や自己変革を行い、それとともに企業が事業の発展を目指すイノベーションを創出していくことが肝要」だとまとめている。

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