経済産業省が行政手続きのデジタル化の実証実験を開始した。2020年内の本格展開を目指している。ビジネスアプリケーション作成ツール「Microsoft Power Apps」を活用する。実証実験に協力する、SCSK傘下のWinテクノロジと日本マイクロソフトが2月12日に発表した。
日本政府は2017年5月に「デジタル・ガバメント推進方針」を策定、その具体的な計画として2018年1月に「デジタル・ガバメント実行計画」を策定した。その一環として、行政手続きの原則オンライン化を推進する「デジタル手続法」(デジタルファースト法)が2019年5月に成立した。国の行政手続きの9割をオンライン化することを目指している。
政府の行政手続きは約5万8000種類、年間21億件があると言われている。約5万8000種類ある行政手続きのうち、約5万70000の年間申請件数は10万にも満たない。年間10万件に満たない行政手続きのデジタル化が急務としている。
こうした流れの中、経産省は2019年6月に「後援名義申請デジタル化等を例とした行政手続PaaS環境の導入実証・調査事業」を公示。同事業は、同省が後援する行事への申請手続きなどをユースケースに、同省内のIT専門人材が実用されているノンプログラミング開発ツールを利用して、デジタルでの申請と処理が可能な環境を構築して、実証運用するとともに改善して、行政手続きのデジタル化を拡充する。同事業の実証基盤としてPower Appsが採用された。
今回の実証実験で経産省はWinテクノロジや日本マイクロソフトと連携して、Power Appsをベースに行政手続用アプリケーションを開発するハッカソンを開催、ハッカソンで誕生したアプリケーションを導入する。経産省内のIT専門人材がPower Appsで後援名義申請以外の中小規模の簡易な手続きを対象にアプリケーションを開発していくための環境構築やスキルアップを支援していく。
すでに2019年12月に同省でハッカソンが開催された。ハッカソンでは、省内で実際に時間がかかっている業務や非効率な業務について、1週間前に課題を提示して、2時間弱でアプリケーション開発のプロトタイピングをどこまで進められるかを検証した。ハッカソンにはWinテクノロジのほかにアグレックスやインフォシェア、日本ビジネスシステムズが参加した。
Winテクノロジと日本マイクロソフトは、Power Appsを活用できる行政手続きとして汎用的な文書管理や決済ワークフロー、受託事業者管理、事業者からの各種の届け出や申請業務を挙げている。
Power Appsを活用したシステム化イメージ(出典:Winテクノロジ)