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日本IBMとレッドハットの両社長が初登壇--AIや量子コンピューターも語る - (page 2)

大河原克行

2020-02-14 06:00

AIや量子コンピューターの最新動向

 基調講演の中では、二上氏が「未来を支える、今準備すべきITアーキテクチャー」と題して、日本IBMの最新動向などを紹介した。

 まず、同氏によると、日本でコンテナーを利用している、利用したいと考えている企業は51%に達している、Dockerコンテナー用に使われているオーケストレーションツールではKubernetesが46%を占める圧倒的な状況という。

日本IBM IBM Services CTO兼オープン・クラウドセンター長の二上哲也氏
日本IBM IBM Services CTO兼オープン・クラウドセンター長の二上哲也氏

 「IBMは、2年前からミドルウェア群のコンテナー化を進め、Cloud Pakの6つの製品を通じて100以上の機能を提供している。オープンなハイブリッドクラウド環境、マルチクラウド環境を実現できるようにしている。さらに、オープンソースのツールを組み合わせた開発環境を提供し、開発も迅速化する。顧客視点(ユーザー体験やIoT)、デジタルサービス、ビジネスサービス、データサービスなどの領域で、汎用化したサービスを提供している。開発環境では、DevOpsにセキュリティを組み込むDevSecOpsを提案する。また、DXのための共創サービス(IBM Garage)も提供し、お客さまのDXで足りないピースを補完する体制も用意している」と、取り組みの全容を示した。

 また同社は、データとデータのパイプラインを確立し、必要なデータへの迅速なアクセスを可能にするDataOpsも提案している。二上氏は、これからはデータの運用が重要になると指摘し、ここでもOpenShiftのプラットフォームを活用していると述べた。さらに、「最近ではエッジまでコンテナー化する動きも出ており、日本の製造業でもコンテナ化ーによってソフトウェアを更新していくなどの取り組みが始まっている。どのシステムをどこまで持って行くのかという“クラウドジャーニー”を戦略立案の段階から移行、構築、管理までお客さまと一緒に行う体制がある。基幹システムの経験や新たなデジタルの領域での経験を生かして、お客さまに寄り添いなからクラウドジャーニーを支援する」と語った。

 将来に向けた取り組みでは、日本IBM執行役員 研究開発担当の森本典繁氏が、「コンピューティングの未来」をテーマに講演した。

 研究開発を担うIBMリサーチは、80年の歴史があり、約3000人の研究者が在籍する。まず森本氏は、「10年ほど前から変化し、多くのパートナーと連携し始めたり、6拠点から19拠点にまで拡大しグローバル化も進めたりしている。(4月に)新CEO(最高経営責任者)に就任するArvind KrishnaもIBMリサーチの出身。2019年における米国での特許取得件数は9262件で過去最高を更新した。これは“GAFA”(Google、Amazon、Facebook、Apple)を合わせた8008件よりも多い。東京基礎研究所もオープンな研究では先進的である」と紹介した。

日本IBM 執行役員 研究開発担当の森本典繁氏
日本IBM 執行役員 研究開発担当の森本典繁氏

 IBMリサーチにおける最近のテーマは人工知能(AI)だ。「少ないデータからナスカの地上絵の新たに発見し、安川電機との協業ではわずかな音の違いから溶接の成否や理由を判断できるAIにも取り組んでいる。さらに色や味、食感などもパラメーター化して、所望する性質を持つ物質の発見につながる『IBM AI Material Discovery』にも取り組んでいる」という。

 またAIの現状では、「いまの時代は一様であり一元性のあるNarrow AIが利用されている。これは正解が存在する問題に対応するが、その次に複合的で多面的なBroad AIの時代がやってくる。サンプル数が少ない不完全なデータや、正解のない問題に答えることができる」とした。

例えば、「今日のネクタイはどれにしたらいいのか」という答えがないことにも答えてくれるものだ。人間と討論をするIBMの「Project Debater」は、Broad AIの実現に一歩近づいたものとし、東京基礎研究所では、視覚障害者のショッピングを支援するアシスタントロボット「AIスーツケース」の開発にも取り組む。AIスーツケースは、指示されたことを実行するだけではなく、コンテキストを理解して目の前に人に退いてもらうように言葉を発するなど、「自分で考え、判断するといったことも行っている」(森本氏)という。

 さらに同氏は、AIがバイアスを持たないようにしなくてはならないことも指摘した。「AIの性能を左右する学習データの取得、管理、運用に注意が必要であり、データやアルゴリズムにバイアスがないかを、フィードバックループにより検証していかなくてはならない。これが、ミッションクリティカルの領域でAIを活用していく上で重要な要素になる」とのことだ。

 また、量子コンピューターにも言及し、「全世界で15台の(IBMの)量子コンピューターが設置され稼働率は97%を超える。これまで20万人以上が1400億回の演算が行い、200個の科学技術論文が発表された。創薬・ゲノム医療、量子化学・材料、最適化・リスク解析、AI/機械学習といった領域での利用が想定されている。日本では、量子コンピューターの研究パートナーシップをさらに強化し、“門外不出”だった量子コンピューター(のハードウェアなど)を日本に2台も設置する」と報告。「IBMでは量子ビット数、量子ビットのノイズ、コヒーレンスタイムを組み合わせたカンタム(量子)ボリュームという性能指標を示しており、これを毎年2倍以上あげていくことをコミットしている」と語った。

 基調講演の最後に山口氏は、「1990年代前半まではハードウェアやサービスを提供している時代があり、その後、サービスとしてアウトソーシングを提供する時代が訪れた。ハードウェアやソフトウェア、サービスを一緒に提供してきたパートナーとは、ビジネスを次のフェーズにシフトしていく」と、ビジネスの変遷に触れた。

 その上で、「いまはユーザーの要望が複雑化し、高度になり、それに対応することが求められている。日本IBMは、ここでアプリケーションを柔軟に、迅速に開発し、利用できる環境を提供する。そのためにレッドハットと一緒になり、OpenShiftを提供し、プラットフォーム企業に変わろうとしている。そこにAIを組み込み、データを活用するためにはどうするのかといったことを考えている。これにより、企業の価値を高め、競争力を高めることになる」と語った。

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