富士通は、富士通新川崎テクノロジースクエア内に設置されたローソンのレジなし店舗で、非接触で認証できる生体認証を融合したマルチ生体認証を世界初導入する。
このレジなし店舗システムは、米VCOGNITION TECHNOLOGIESのシステム「Zippin」を活用する。同システムは、自動決済に必要なカメラや重量センサーなどの機器と、来店客や商品を認識するためのAI(人工知能)機能、決済や在庫管理との連携機能を統合している。
導入するマルチ生体認証は、富士通研究所が開発したもので、手のひら静脈と顔情報のみで本人を特定し、非接触で認証できるため、手ぶらでの買い物を実現できる。ローソンでは、2月26日~5月25日に同店で店舗スタッフの負担軽減とレジに並ばずに買い物ができる来店客の利便性向上を目的に、レジなし店舗システムによる実証実験を行う。富士通は、同実証実験に、店舗オーナー・店舗スタッフ、利用者、技術提供者の3つの役割で参画する。
店舗外観イメージ
マルチ生体認証端末による入店の様子
具体的には、来店客に事前にスマートフォンアプリをダウンロードしてクレジットカード情報を登録してもらい、来店客はアプリに表示されたQRコードで入店するようにする。これにより、店内に設置されたカメラや重量センサーにより来店客や商品を判別し、退店時に自動で決済が完了するが、3月16日以降はQRコード認証端末に加えて、手のひら静脈認証と顔認証を組み合わせたマルチ生体認証端末を入場ゲートへ設置する。
実証では、この環境下で、ピーク時の販売機会ロスを削減し、店舗売上の増加に貢献できるかを検証するとともに、レジ業務削減により、店舗スタッフの負担軽減や接客業務強化など店舗運営の効率化が可能となるかを検証する。さらに、スマートフォンを持たずに手ぶらで買い物をすることができるようになることで、来店客の利便性向上が図れるかを検証する。
今後富士通は、2021年3月末までにマルチ生体認証の製品化および年齢確認技術(特許出願中)への応用を検討し、年齢制限のある商品についてもレジなし店舗で販売できるように推進していく。また、今回の実証実験の結果や、来店客の動き・動作時間・購買動機・再来店意欲などを調査・分析し、売上増加への効果検証や来店客目線での課題整理を行い、ローソンが目指す、一般顧客向け実証実験店舗の展開を支援していく。