NECは小売業界向けに人工知能(AI)を活用した需要予測と、それに基づく自動発注システムの提供を開始した。同システムは先行して、リオン・ドール コーポレーション(リオン・ドール)が福島県を中心に展開しているスーパーマーケットに採用された。
リオン・ドールでは同システムの導入に先立ち、複数店舗において予測モデルを用いた3カ月間のシミュレーションを実施。人手による発注実績と比較した結果、対象製品の欠品日数が6.5%改善、ロス金額が25〜40%減少したと確認した。
小売業界は人手不足や食品ロスなどの課題を抱えており、ITを活用した業務変革が求められているとNECは説明する。同社はAI需要予測システム「DCMSTORE-DF」と、それを用いた需要予測型自動発注システム「DCMSTORE-EOB」を開発し、これら2つの課題解決に取り組んでいく。需要予測型自動発注システムは、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つ「異種混合学習」も活用しており、天候や曜日、過去実績などのデータを基に客数と販売数を予測。牛乳や練り物など日持ちしない日配品の販売数を予測して適正量を自動発注することで、発注業務の効率化や欠品・ロスの防止につなげる
需要予測型自動発注システムの概要(出典:NEC)
今回用いられる異種混合学習は、多種多様なデータから複数の規則性を自動で発見し、その規則を基に予測を行う。店舗や商品ごとに規則性を自動で検出することで、精度の高い自動発注が可能になるという。また予測結果の根拠まで説明可能なホワイトボックス型AIであるため、複雑な分析においても解釈性の高い予測結果を得られるとしている。