従業員体験管理システム「EmployeeXM」を開発、提供するQualtricsの日本法人クアルトリクスは2月26日、「2020年従業員エクスペリエンストレンド」に関する調査レポートを発表した。同調査によると、日本における「従業員エンゲージメント」は、調査対象となった世界17の国と地域の中で最も低くなっているという。
今回の調査は、「職場での体験」のうちどのような要素が従業員に影響を及ぼしているかを理解した上で、企業がどのような改革を実行すべきかの知見を得るために実施された。
従業員エンゲージメントについて、Qualtricsは、企業や組織の発展に貢献するため、職場において従業員がどのような考え方や感情を持ち、行動しているかという姿勢を意味すると考えている。企業や組織の方針や戦略に共感し、誇りを持って自発的に仕事に取り組んでいるような人々を「エンゲージしている従業員」と捉えている。

市川幹人氏
エンゲージメントが重要な理由として、同社でEX(従業員エクスペリエンス)ソリューションストラテジーディレクターを務める市川幹人氏は、「言われたことだけやるのではなくて、自ら進んでやる。このことから生産性の向上や革新性が生まれる」と説明する。
調査によると、従業員エンゲージメントは、ほとんどの国や地域で低い傾向にあるが、日本の場合、世界平均53%をさらに下回る35%で、調査対象の国と地域の中で最も低い結果となったという。
市川氏は、「日本人の場合、アンケート調査で控えめな回答をしがちな国民性と一般に言われている」ため調査結果が低くなる傾向にあると述べつつも、現在の日本において、新しいことに自らチャレンジしない、職場としての自社に誇りをあまり感じない、組織の戦略や方針が腹落ちしていないような従業員は決して少なくないと指摘する。

このことから、他の国や地域同様、日本においても従業員エンゲージメントを改善していくべきであるのは明らかだという。
日本においてエンゲージメントに影響を与える要因としては、「自社にとって適切な意思決定を行う経営陣に対する信頼感」(33%)、「担当業務と会社の戦略的目標の関連についての明確な理解」(34%)、「優れた業績に関する認知・評価」(35%)、「従業員のキャリア開発を支援するマネージャー」(29%)、「業務を円滑に行うための研修機会」(24%)となっている(重要度順、%の数字は肯定的回答率)。
このことから、従業員エンゲージメントを改善するには、経営陣や管理職がリーダーシップを発揮する、的確な意思決定を行う、従業員の担当業務の意味を示す、従業員に成長の機会を与える、といった努力が必要なことが分かる。
この結果に加えて、今回の調査で明らかになった日本の回答者に見られる3つのトレンドを市川氏は紹介した。