他の自治体の水道事業にも展開できるロールモデルに
以上が、東京都水道局および日本IBMによる発表の概要だが、筆者がこの動きに注目したのは、ライフインフラにおける顧客対応にAI技術が活用されることのインパクトは大きいと考えたからだ。
IBM Watsonは顧客対応を担うコールセンター向けソリューションとして、すでにさまざまな分野で実績を上げており、それらのノウハウを今回の水道利用に関するお客さまセンターにも活用できるとみられる。
インパクトが大きいと考えるのは、この仕組みが学習効果を含めてうまくオペレーションできるようになれば、他の自治体の水道事業にも展開できる“ロールモデル”になる可能性があるのではないかとの見立てからだ。
そのために、注文が1つある。公共の取り組みでもあるので、ぜひ投資効果(ROI:Return on Investment)を明示してもらいたいということだ。これは東京都民への説明責任とともに、この仕組みの“横展開”には欠かせないところだ。効果についてはお客さまセンターの稼働状態だけでなく、顧客満足度までしっかりと調査するのが望ましい。
ROIを明示してロールモデルを目指せ、と訴えるのは、公共事業としてそのポテンシャルが大きいからだ。東京都水道局は内部で利用するだけでなく、ぜひとも顧客対応サービスとしての事業化を目指していただきたい。