日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、2月に「企業IT 動向調査2020」の結果(速報値)を発表、その中で「データマネジメント」(有効回答959社)に関する状況を取り上げた。約8割の企業がデータ活用に取り組み、業界別動向やデータ活用のテーマ、活用における課題といった実情が明らかになっている。
まず、データ活用への取り組み状況では、回答企業の37.9%が「一部の事業や組織でデータ活用できる環境を構築」、22.2%が「組織横断的にデータ活用できる環境を構築」とした。「データ活用の準備に取り組んでいる」企業も20.6%あり、全体では80.7%がデータ活用の取り組みを進めていることが分かった。
業種グループ別・データ活用への取り組み状況(出典:JUAS)
業種別では、金融および商社・流通で「組織横断的にデータ活用できる環境を構築」との回答が3割を超えた。また、全業種の7割以上がデータ活用の取り組みを進めていることが明らかになった。
データ活用に期待する効果では、どの業種も「業務効率化・対応の迅速化など(業務プロセス面)」が最も高く、特に建築・土木、素材製造、機械器具製造、サービスでは半数以上を占めた。金融・社会インフラでは業務改善と合わせて、新サービスの創出や売り上げの向上といった効果への期待も高かった。
データの種類別に見た活用状況は、基幹系データ、業務支援/情報系データ、管理業務系データの3種類で「既に活用済み」との回答が半数以上を占めた。しかし、非構造化データ(IoT、マルチメディア、ソーシャルメディア)および外部データについては、いずれも半数以上の企業が活用するが予定ないとしている。
データ種類別の活用状況(出典:JUAS)
データマネジメントの課題(上位3つ)については、「データ分析・活用のための体制/組織の整備」や「データ統合環境の整備」が4割を超え、21.1%はデータ統合環境の整備を最大の課題に挙げた。「データ関連技術の習得や選択」「経営層または事業部門の理解・参画」「データマネジメントの態勢整備」「人材(データサイエンティスト)の育成」も3割前後に上り、データ活用に必要な広範な環境の整備が課題になっている状況が浮き彫りになっている。
データマネジメントの課題、1~3位(出典:JUAS)
「企業IT 動向調査2020」の詳しい分析結果は4月に公表される。