パナソニックは、社内分社のコネクティッドソリューションズ社(CNS社)が東京本社の入退管理に顔認証システムを導入したと発表した。導入されたシステムは、パナソニックが2019年2月に提供開始した「入退セキュリティ&オフィス可視化システム KPAS(KPAS)」。現在は、勤怠管理システムとも連携している。
KPAS壁掛けチェッカーによる認証の様子(出典:パナソニック)
パナソニックはディープラーニングを応用した顔認証技術を用いて、1日10万回超の固有の顔認証を達成してきたという。KPASは一括の顔登録に加え、専用端末により顔と名刺を同時に登録することで、最短15秒で利用できる。これにより、社員だけでなく来訪者の入退管理が可能となり、登録可能人数は最大3万人と大規模オフィスビルに対応する。一度登録した来訪者の顔画像は、顔認証による本人確認が終了後、一定期間を経て無効となる設定になっている。
適用したのはパナソニック東京本社の4フロアで、登録人数は約8000人。登録者は、オフィスフロアの各部屋への入退室時に壁掛けチェッカーの前に近づき、顔認証だけでドアを解錠できる。
顔認証と勤怠管理との連携は、顔認証による入退許可の際にKPASが勤怠管理システムに情報通知し、勤怠管理システムが自動的に入退出時刻を登録することで可能となる。顔認証の登録画像として、企業で管理している社員証などの画像情報を活用することが一般的に考えられるが、過去に撮影された社員証の画像は、顔認証で活用されることを想定していないと予想される。一方、顔認証のために全員の写真を撮り直してからでないと顔認証と勤怠管理との連携が始められないのは導入への障壁となる。
そこで今回の導入では、約8000人の社員証の画像を活用して勤怠連携のための認証精度を継続的に検証・改善していく。具体的には、入出退における顔認証の結果パラメーターをKPASが分析し、認識精度が低いユーザを抽出。その上でシステム管理者と連携することで、認証精度の継続的な改善を検証する。パナソニックは導入の成果を踏まえ、2020年度におけるKPAS製品の機能を強化していくという。