Salesforceは米国時間3月9日、ヘルスケアおよびライフサイエンス業界向けの患者管理プラットフォーム「Health Cloud」に追加した一連の機能や特長を発表した。特定の業界向けのサービスを充実させる同社の取り組みの一環となる。
新規ツールには、ヘルスケア組織が医師やその他のヘルスケアプロバイダーとの関係を管理する上で活用できる「Provider Relationship Management」サービスがある。また、患者のニーズをプロバイダーや、保険機関のような費用負担者がより深く理解できるようにするための新たなアナリティクスツール「Einstein Analytics for Healthcare」もある。さらに、ヘルスケア分野の相互運用性を強化するノーコード型の新規ツール「Destinations」が「Salesforce AppExchange」で利用可能になった。このツールを使うことで、組織はサイロ化されたヘルスケアデータなどをHealth Cloudで統合できるようになる。
Salesforceは2月、インダストリークラウドやモバイルソフトウェアを提供するVlocityを約13億3000万ドル(約1480億円)で買収する計画を発表している。VlocityはSalesforceのプラットフォームにネイティブに構築され、医療など特定業界向けにサービスを提供していた。
ヘルスケア組織は、Health Cloudの新たなProvider Relationship Managementサービスを用いることで、連携しているヘルスケアの関連組織や、施設、教育履歴、ネットワーク、営業時間といった、プロバイダーの情報を包括的に把握できるようになる。このサービスを活用すれば、医師への連絡窓口は医師との関係を強化でき、また費用負担者は自らの医師ネットワークの管理や、紹介状の追跡がより容易になる。
Provider Relationship Managementサービスには、患者を適切なケアプロバイダーと引き合わせられるように手助けする「Provider Search」というツールも含まれている。ユーザーは地域や利用可能性、専門性のほか、新規患者を受け入れるかどうかといった条件で検索が可能となっている。また、入力フィールドをカスタマイズし、費用の範囲といった条件を追加することも可能だ。さらに組織はこのProvider Searchツールを拡張し、患者自身が使用するセルフサービス型の検索機能を実現することも可能だ。
Einstein Analytics for Healthcareは業界の規制に準拠しており、ケアコーディネーターはこれを利用し、患者のケアプランを分析し、健康の増進に役立つ作業につなげることも可能になる。このアナリティクスツールにはダッシュボードがあらかじめ搭載されている。このプラットフォームでは、紹介に至るまでの期間や、ケアプランへの順守度合いといった、業界向けの重要業績評価指標(KPI)も利用可能となっている。
ノーコード型の新ツールであるDestinationsは独立系ソフトウェアベンダー(ISV)であるBridge Connectorが提供している。このツールの使用によりSalesforceの管理者は、あらかじめ定義されているデータマッピングを用いて、電子カルテ(EHR)データをHealth Cloudに容易に統合できるようになる。
Destinationsは、AppExchangeでの利用に加えて、「Anypoint Exchange」のAPI仕様としても利用可能となっている。このためMuleSoftのヘルスケア顧客は、Salesforceやサードパーティーのシステムで患者データのオーケストレーションが可能になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。