前回は、企業がSNSアカウントを運用すべき理由を、企業と個人の利用実態から解説しました。今回は、「SNSアカウントの運用を提案したいけど、上司はSNSをやっていないので理解がなく説得するのが難しい」――。そんなSNS担当者の前に立ちはだかる上司の壁を突破するためのヒントを紹介します。以下に紹介する内容をヒントに、SNSアカウント運用を行うべき理由や対応方法を整理して、上司へのプレゼンに役立てていただければ幸いです。
上司はきっとこんな心情
- その1:SNSをやっていないのでよく分からない
「自分がやっていないのでそもそもSNSの楽しさや魅力がどんなものか分からない」 - その2:SNSはプライベートで使うもの。ビジネスのためのツールではない
「SNSは自分の趣味や友達とのつながりとして使うものだから、企業が発信しても見てもらえない」と考えている - その3:炎上のリスクを考えるとSNSはやらない方がいい
メディアではしばしば企業が炎上した事例が取り上げられるため、「SNSは炎上リスクが高い」と思い込んでいる
その1.「SNSをやっていないのでよく分からない」には、ファクトと事例、活用案を提示しよう
SNSをやっていないのでよく分からない、というのであれば、客観的な事実を伝えて、その上で自社での活用案を提示してみましょう。
まず、利用者データです。第1回でも紹介したSNSを活用している企業の割合や個人の利用実態が参考になるでしょう。ここでは、中でもSNSマーケティングとして多くの企業がアカウント運用をしているTwitterとInstagramに絞って利用者数と特徴を説明しましょう。
Twitterの日本国内のアクティブアカウント数は4500万超です。ユーザーの平均年齢は30代半ば(2018年10月時点)ですが、若年層から中高年層まで幅広く使われています。Twitterは、リアルタイム性が高く、拡散すれば一定時間大きな話題になることが期待されます。企業アカウントとの相性としては、BtoC(対個人)の方がユーザーとコミュニケーションしやすい傾向があるでしょう。BtoB(対企業)の場合は、企業の中の社員として上手にコミュニケーションを活性化している事例もあります。
また、Instagramの日本国内のアクティブアカウント数は3300万(2019年3月時点)で、こちらも年々ユーザー数が増加しています。前回の記事で、現役大学生は、Instagramのハッシュタグでクチコミを調べる人が27.6%(約3割)に上ることを紹介しました。Googleで検索するよりも、ハッシュタグを追いながらイメージを固めていくような「タグる」行為が、特に若い世代で浸透しつつあります。Instagramをきっかけに購入したことがある人のうち、71.4%が企業公式アカウントの投稿を見て購入(※)しているという調査データもあります。
(※)WE LOVE SOCIAL:Instagramは現役大学生の購買にどう影響している?利用実態調査|2019年
次に、以下の事例を参考に自社での活用方法を検討してみましょう。Twitterはリアルタイム性が高いので、Twitter内で話題になっている「トレンド」(投稿の多いキーワード)に合わせた投稿を行い、ユーザーとコミュニケーションすることがお勧めです。例えば2月22日の「猫の日」には多くの企業がユニークな投稿を行いました。
・カップヌードル【公式】「カップニャードル」
https://twitter.com/cupnoodle_jp/status/1231043430568079363
・イエローハット【公式】「全国交通にゃん全運動」
https://twitter.com/yellowhat_ltd/status/1230673493974487046
Instagramは写真や動画がメインですが、イラストやマンガを使った投稿でメディアのように情報を発信している活用方法があります。Instagramで人気のイラストレーターや漫画家とコラボして投稿を作成していることが多く、双方のフォロワーに情報が届くことが期待できます。
・DHC(ディーエイチシー)公式:人気イラストレーターとのコラボでマンガを月1で公開
https://www.instagram.com/p/B9G4NiYhhaK/
・PERSOL group:人気イラストレーターとのコラボでファッションコーディネートを紹介
https://www.instagram.com/p/B9EUyBlHSYj/