筆者はメインフレームコンピューターで経験を積んできた。筆者にとっての最初のシステム管理言語は「IBM 360」メインフレームのジョブ制御言語Job Control Language(JCL)だった(UNIXやLinuxの記事を執筆している筆者のバックグラウンドから最初のシステム管理言語はBourneシェルかCシェルと思われた方もいるかもしれないが、そうではない)。このため、「Red Hat Ansible」のようなDevOps関連システムからメインフレームを制御できるという考えには少しばかり仰天させられた。IBMは20年ほど前から同社のメインフレームでLinuxを利用可能にしているとはいえ、メインフレーム上でのDevOpsと言われると思わず耳を疑ってしまう。
IBMは米国時間3月17日、「Red Hat Ansible Certified Content for IBM Z」の提供開始を発表した。同ツールを用いることで、「z/OS」のアプリケーションやITインフラの自動化が可能になる。また、プラットフォームを横断して統合されたワークフローを通じた開発や運用の自動化も可能になる。
この新たなツールは、既存のJCLやREXX、「IBM z/OS Management Facility(z/OSMF)」といった資産とも連携できる。筆者が大昔に得たJCLのスキルが時の流れによって忘れ去られていなかったという事実を知るのはうれしい限りだ。将来的には「IBM Information Management System(IMS)」や「Customer Information Control System」(CICS)といった、z/OSの昔からあるミドルウェア製品に対する共通設定や管理タスクの自動化も可能になるだろう。既に(CICSに比べると)新しいPythonがこのツール上で使用できるようになっている。
IBMでIBM ZおよびLinuxONEの製品管理担当バイスプレジデントであるBarry Baker氏は、声明で以下のように述べている。
Red Hat Ansible Certified Content for IBM Zによって、Ansibleユーザーは「IBM Z」アプリケーションとITインフラの自動化が可能になる。この新ツールは「Ansible Automation Hub」から入手可能になるとともに、オープンソースのアップストリーム版も「Ansible Galaxy」上で提供される予定だ。つまり、われわれのクライアントがどのようなインフラの組み合わせを利用していたとしても、IBMはIBM Zに自動化をもたらし、単一の制御パネルを通じて彼らのハイブリッド環境の管理を支援するということを意味している。
またBaker氏は、以下のように述べている。
開発部門と運用部門は、Ansibleによって古くから社内で使われている技術や、歴史的な技術のサイロを破壊し、自動化の一元管理が可能になるとともに、IBM Zが実現するパフォーマンスやスケーラビリティー、統制、セキュリティを活用できるようになる。これにより、双方の世界の長所を合わせ持った、実践的かつより経済的なソリューションがもたらされる。
筆者がメインフレームのシステム管理者をしていたのは随分昔のことだ。それでも筆者はこのニュースに興奮している。Ansibleによってもたらされる自動化と柔軟性に、今日のIBM Zメインフレームの強大な力が加われば、メインフレームの機能性が大きく強化されるのは間違いないだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。