現在、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、多くの企業がチームの分割措置やビデオ通話といった、フレックスワークやリモートワークを通じ、従業員とウイルスとの接触を最小限に抑えるべく、さまざまな方策を試行しています。IT企業を筆頭に大手金融機関など、一部企業は極めて迅速にリモートワークを達成しています。
しかし、大半の企業の場合、オフィスにいることが物理的に不可能な場合でも、業務の維持に必要なデータに従業員がアクセスできるセキュアなワークスペースを実現するには、さまざまな課題が待ち受けています。
リモートワーク導入が進まない理由
新たなテクノロジー、ワークスタイルの進化、高速インターネットはいずれも、リモートワークの急成長に貢献してきました。長期的にも上昇トレンドが続いており、SNSの予定投稿サービスを展開する米国企業の調査では、約2400人の回答者の99%が、これから先も少なくともある程度はリモートで働きたいと回答しています。
リモートワークが生産性にもたらすメリットについて広く知られているものの、このスタイルをより大規模に導入する際の大きな障害として頻繁に指摘されるのが、サイバーセキュリティやコンプライアンスの懸念です。先ほどの調査を見ても、リモートワークはもはやトレンドの枠組みを越えて、当たり前のものとして定着しつつあります。
そのため、企業各社に求められるのは、自社データへの信頼を維持しつつ、リモートワーカーを迅速に満足させる方法を見つけることです。これは、将来的に人材を獲得・維持する上で欠かせない要素です。
企業のIT部門がリモートワーカーに課すセキュリティ体制は厳格であることが多く、VPNの使用、複雑なパスワード、定期的な再認証が往々にして求められます。この結果、複雑な作業やトラブルに直面することが増え、自宅での効率的なタスク遂行に弊害が生じています。
こうした複雑な作業をスキップするために、社員自身が回避策を模索した結果、メッセージアプリなどの各種アプリ、ファイル共有サービス、そして、セキュリティの不十分な個人のモバイル機器やタブレッドなど、非推奨のソフトウェアやデバイスを無断で使用し、情報を共有するケースもあるでしょう。
リモートワークを取り巻く環境は、業種や事業規模によっても変わると考えられます。大企業の場合、中小企業に比べ、自社システム保護への投資リソースに恵まれている傾向があります。
また、官公庁や金融、保険など、規制の厳しい業界の場合、極めて厳格なセキュリティやコンプライアンスの要件とリモートワークの間でバランスを取るのは容易ではありません。一般的に認識されるリスクは、リモートワーク推進のメリットを上回ります。
さまざまな形でのサイバー攻撃による被害が頻発する現代、企業がリモートワークを導入する際、サイバー攻撃領域の拡大に対処する必要があります。全てのモノがネットワークにつながるIoT時代に求められるのは、個人や企業のデータを抜き取ろうとするサイバー犯罪者に負けることのない、高度なセキュリティ対策であることがもちろんです。アプリ、デバイス、ファイアウォールの保護だけでは、もはや十分とはいえません。