多くのソリッドステートドライブ(SSD)メーカーはNANDフラッシュの消耗低減やパフォーマンスを向上させるため、ファームウェアにストレージ総容量の一部を別途確保するオーバープロビジョニング(Over Provisioning:OP)を施してきた。
岩本氏は「たとえばガベージコレクションや性能安定化、長寿命化、ビットエラーに対応するためOPを確保し、ユーザーに(コストを)乗せている。だが、われわれはSSDレイヤーのOPをゼロにし、Purity OSでOP領域を確保、制御することで効率性を向上させてきた」と説明し、オールフラッシュアレイとしての優位性を強調した。
同社によれば、シングルレベルセル(SLC)ならセルレベルは長寿命のためOP領域は小さいが、マルチレベルセル(MLC)やトリプルレベルセル(TLC)などはOP領域を大きめに取る傾向が強いという。必然的にストレージの本数が増えれば利用できる容量も拡大する。同社の高い利益率をサブスクリプションモデル「Evergreen Storage」に反映させ、ファームウェアレベルに対応できるエンジニアの雇用やオフィス環境の整備に回していると説明する。
クラウドベースの管理ツール「Pure1」によるストレージ拡張のシミュレーション。Pure1 Metaダンプログなどをもとに深層学習を行い、導入効果を予測する
Evergreen Storageは3年ごとにコントローラーをアップグレードし、故障が疑われるハードウェアの予防交換や保守サポート価格を維持するサブスクリプションモデルだ。仮にMシリーズでストレージシステムを運用する企業が同モデルを採用した場合、「Xシリーズ用コントローラーに置き換わるため、約3年間で性能は約50%もアップ」(岩本氏)する。
ピュア・ストレージ・ジャパンは数年ごとに発生するであろう、新規購入や移行作業費などの更新費用を鑑みて、年数が経過しても低コストを維持する「フラット&フェア」、常に最新技術と性能を無償継続できる「フリー・エブリ・スリー」、契約期間中は疑わしいハードウェアやソフトウェアを呼び交換することでフラッシュデバイス自体の懸念を極小化する「フォーエバー・メンテナンス」の利用を推奨した。
国内では、ソニー ネットワーク コミュニケーションズがPure Storageを導入しており、仮想環境やデータベースが稼働するストレージの代替コストをEvergreen Storageで削減している。岩本氏は「(他のオールフラッシュアレイメーカーは)世代をまたいでコントローラーを提供できない。われわれは実績も技術も蓄積もある」と自社の強みを強調した。
ソニー ネットワーク コミュニケーションズは無償でコントローラーを最新版に更新できる「Forever Flash」でコストを30%以上削減しているという(出典:ピュア・ストレージ・ジャパン)