自動認識機器を展開するゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーション(ゼブラ)は3月25日、同社が実施した「第12回小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果を発表した。 この調査では、6300人以上の消費者や小売店従業員、小売業界幹部の意識や傾向を分析し、同業界の課題やそれらを改善するテクノロジーを考察している。調査期間は2019年 8~9月で、調査地域は北米、中南米、アジア太平洋、欧州、中東だという。
「消費者の満足度は、実店舗・オンラインともに上昇しているが、小売業側と消費者の間でショッピング体験の捉え方にギャップがある」と日本法人 社長の古川正知氏は指摘する。オンラインショッピングの普及に伴い消費者は、Eコマース(電子商取引)で感じる便利さを実店舗にも求める傾向があるという。そのため小売業側は「ストレスがないショッピング体験をどのように提供していくか」について、これまで以上に消費者の視点で考えていく必要があるとしている。
※クリックすると拡大画像が見られます
テクノロジーに慣れ親しんでいる消費者は「有人レジの列に並ぶよりもセルフレジを選ぶ」(52%)と回答した一方、「最新テクノロジーを用いた店員の接客によって、ショッピング体験が向上した」(59%)、「情報検索は自分ではなく、最新テクノロジーを活用する店員に行ってほしい」(57%)と答えた。このことから、彼らは店内に導入されるテクノロジーに期待しつつ、店員による接客を望んでいると分かったという。
逆に、消費者が何も買わずに店を出る1番の理由は「ほしい商品が品切れだったから」だと古川氏は説明する。品切れが原因で何も購入せずに店を去ったことがある消費者を世代別で見ると、ミレニアル世代が75%、ジェネレーションXが53%、ベビーブーム世代が26%と、ミレニアル世代の割合が最も高く、若い世代ほど品切れがもたらす影響が大きいという。 また店員も品切れの発生頻度に不満を抱いており、店員の43%が品切れに対する消費者からのクレームが最大のストレスだと感じている。
※クリックすると拡大画像が見られます
さらに、実店舗で購入する消費者の49%が「品切れだった商品をその場で注文できる仕組みに満足していない」と回答。商品が品切れだった際、購入を後押しするオプションについて、消費者は「品切れだった商品を注文し、自宅に配送」(67%)、「商品が入荷した際に利用できる割引券を提供」(64%)、「在庫のある多店舗を調べ、行き方を教えてもらう」(60%)を挙げた。
加えて、返品プロセスも大きな課題だという。同プロセスに不満を抱いている消費者は41%で、世代別ではミレニアル世代が34%、ジェネレーションXが44%、ベビーブーム世代が54%と、ベビーブーム世代の割合が最も高かった。その理由として、上の世代ほどEコマースと比べて返品プロセスが手軽でない店舗で買い物する頻度が高いことがあるという。そして小売業者は返品プロセスの改善に向けて、以下のような策を立案している。返品時に追加料金を徴収する案に関して、古川氏は「返品コストがかかるためだが、消費者にとっては都合が悪い。返品プロセスにおいて店員がやっていた作業を自動化したり、物流を効率化したりすることで、無料で対応できる仕組みを作ることが大事」と語った。
※クリックすると拡大画像が見られます